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代表派遣会議出席報告
1 名 称   哲学系諸学会国際連合運営委員会
        The Steering Committee of the International Federation of Philosophical Societies
2 会 期  2010年11月 8日~12日(5日間)
3 会議出席者名  日本人:佐々木健一(日本学術会議による代表派遣)
4 会議開催地  メキシコ・シティ(メキシコ合衆国)
5 参加状況 (参加国数、参加者数、日本人参加者)  約20カ国、約40名(正式メンバーとオブザーバーの区別が難しく、概数です)、日本人参加者(1名):佐々木健一(国際学術交流分科会委員) 
6 会議内容

・日程及び会議の主な議題
  11月8日 参加者到着
  11月9日 午前・午後 開会セレモニーとシンポジウム
  11月10日~12日 運営委員会
  11月13日 参加者帰国
  運営委員会の主要議題は、会長、事務局長の会務報告(特に、国際哲学デイ、国際哲学オリンピアードを含むUNESCOとの関係)、出納係の会計報告、2013年のアテネ大会のための諸問題(特に、ロゴについて、プレナリー・セッションとシンポジウムのスピーカー、議長、一般セッションの責任者の決定)、諮問委員会の報告、FISPへの新規参入申請審議など。
シンポジウムの主題は「メキシコにおける哲学的思考の外観」と「持続可能性の概念に関する批判的分析」

・会議における審議内容・成果
  定例の年次委員会であり、FISPの通常の運営についての討議が中心。重要なのは、次の世界哲学会議(2013年アテネ)の諸問題に関する討論で、原案として出されたロゴに対して再考を求めることになり(第一サーキュラーはFISPのロゴを使用する)、プレナリー・セッションとシンポジウムのスピーカー、議長、一般セッションの責任者、原則的な決定がなされた。特に重要なことは、プレナリーとシンポジウムを合わせて3人の日本人哲学者が選ばれたことで、これは今までにないことであるだけでなく、今回選出されたスピーカーのなかでも欧米以外の地域では特に多い。ユネスコとの関係は、今回も重要な問題として扱われた。報告として、間近に迫っている世界哲学デイについて、テヘランでの行事に対するユネスコの支援が取り消されたことを、委員会は好ましい決定として受け止めた。またユネスコにおいて哲学の位置について、昨年ほどの緊迫感はないものの、引き続き強い関心が示された。

・会議において日本が果たした役割
  運営委員会という性格上、日本が特に果たした役割というようなものはないが、わたし(佐々木)は、日本人のスピーカーについての説明を行った。

・その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
  特になし

7 会議の模様

  日程上、直行便を使うことができず、往路ではロサンジェルスで13時間の待ち時間を経験したが、これは極めて苦痛なものであった。
  メキシコ・シティの歴史地区の中心広場のはずれに、会議の会場があり、宿泊ホテルはこの広場に面していた。折から、独立記念日のために連夜、この広場でレーザービーム、映写と音楽のイヴェントが行われ、この音楽は広場に面した部屋を割り当てられた人びとにとって苦痛な騒音となった。
  シンポジウムのうち「メキシコ哲学」は、メキシコの哲学者によるメキシコ哲学の歴史と現状に関する報告で、特に文字を持たない時代の「哲学」の再構成というテーマに関心を覚えた。また「持続可能性」は、日本学術会議でも重視されてきた現代社会の最重要課題であり、時代のアクチュアルな問題へのFISPの積極的な取り組みを示している。発表の中では、この概念を広義の倫理的な問題としてとらえる姿勢が注目された。
  委員会の討議については、3人の日本の哲学者がスピーカーとして選出されたので、日本にとっては実り豊かな成果と言える。これに応じて、日本の哲学界も一層国際的な意識を高めてゆくことが必要となろう。また、FISPとしては、ギリシャの経済危機が2013年の世界哲学会議のアテネ開催に継続的な緊張感を与えている。ユネスコにおける哲学の位置の問題は、今年は相当に改善されている印象だが、警戒はゆるんでいない。哲学を不要とする考えは依然として存続しており、この点についてのユネスコとの関係は学界および文化全体のなかでの哲学の位置を象徴するもの、ということができる。

次回開催予定  2011年9月末


開会セレモニー


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