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代表派遣会議出席報告
1 会議概要
1)名 称 (和文)第24回国際測地学地球物理学連合総会
      (英文)XXIV General Assembly of International Union of Geodesy and Geophysics (IUGG)
2)会 期 2007年7月1-13日(13日間)
3)会議出席者名 河野 長  
4)会議開催地 ペルージア市(イタリア)   
5)参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)参加国数:91、参加者数:4109、うち日本人:487
            
6)会議内容
・日程及び会議の主な議題
 この会議はIUGGが4年に1回開催する総会であり、13日間の会期内に220の科学セッションと99の事務的会合が開かれた。連合のレベルでは執行委員会(Executive Committee)と各国代表総会(Council of Delegates)がそれぞれ3回ずつ開かれ、IUGGが当面している様々な課題についての議論があったほか、次の4年間の役員の改選などが行われた。
 連合の次期の役員としては、Tom Beer会長(オーストラリア)、Harsh Gupta副会長(インド)、Alik Ismail-Zadeh秘書長(ロシア、ドイツ在住)が選出された日本からは末廣潔(JAMSTEC)がFinance Committee memberに再選され、また中田節也(東京大)がIAVCEIの新会長として執行委員会に参加する。
・会議における審議内容・成果    
 これまでUnion Commission of Cryospheric Sciences (UCCS)と呼ばれていた連合直属組織を8番目の協会(Association)に格上げすることを認めた。これにより、IUGGはInternational Association of Cryospheric Sciences (IACS)を含めて8つの協会を置くように規約を改正した。
・会議において日本が果たした役割  
 これまで4年間、河野長(東工大)がIUGG前会長として、また今脇資郎(九州大)がIAPSO会長として、執行委員会に加わってIUGG全体の方向性を決める議論に参加してきた。河野は今回はResolutions Committeeの委員長としてIUGGの決議(resolutions)の取りまとめにあたった。上田誠也(東海大)はNominating Committeeメンバーとして次期役員候補者の推薦を担当した。  
 科学面では、連合の行事として最高の位置に置かれているUnion Lectureが4件あったが、このうち1人は佐竹健治(産総研)による「スマトラ津波の教訓と災害軽減のための考察」であった。そのほかにはアメリカ人2人(気候変動、惑星)とイタリア人1人(地中海のテクトニクス)が選ばれている。この他にUnion Symposiumにおいても佐藤哲也(JAMSTEC)の「シミュレーション科学」、広瀬敬(東工大)の「ポストぺロブスカイト転移」などの招待講演があり、日本の科学者の発信力はかなり強いと思われる。
・その他特筆すべき事項  
 今回の総会では9件の決議(resolutions)を採択した。このうちで特に重要と思われるのは次の2件である。
 ●The urgency of addressing climate change IPCC AR4が出されたことを受け、CO2などの温室ガスの放出を劇的に減らすことができなければ、気候変動がさらに加速すると警告する。このため、温室ガスを大幅に削減する取り組みを直ちに開始することを、各国政府や国際機関に求める。
 ●Reduction of risk from natural hazards 気候変化や人口の大都市集中などにより、大規模な自然災害を被る可能性が増していることを指摘した。これらの被害を軽減するためには、画一的でなく様々なレベル(国際、国、地方、...)で有効な取り組みを進める必要がある。                  
2 会議の模様
 今回の総会は開始時にプログラムがないという異常な事態で始まった。組織委員会の相当な努力にもかかわらず、プログラムはべたうちの新聞の形でしか提供されず、アブストラクト集も会期中には間に合わないという、ちょっと考えられない運営であった。またホテルの料金が普通に泊るよりかなり高いなどという不満やトラブルもあったようである。前回の大会(2003年、札幌市)がほぼ完全な出来であったのでその対比が強烈で、多くの人たちから日本開催時の素晴らしさをほめられた。
 それにもかかわらず、参加した人たちの評判はそれほど悪くない。プログラムが不備でどこでいつどの講演があるかわからないので、結局一番大事なセッションに居続けたのでいろいろくわしい議論ができた、などと評価する声もある。また世界遺産であるペルージァの街並みの素晴らしさ、総会をサポートしたスタッフなどイタリア人たちの人懐こさや親切さ、アッシシなど近郊の中世以来の都市の美しさや歴史、など確かにイタリアは魅力たっぷりである。またジャズフェスティバルと時期が重なったことで街の喧騒が増したが、それも含めて楽しんだ参加者が多かったと思う。まあ「終わり良ければすべて良し」といったところか。
次回開催予定 2011年メルボルン市(オーストラリア)


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