行政改革と各種施設等独立行政法人化の中での学術資料・標本の管理・
保存専門委員の確保と養成制度の確立について
委員会名  学術基盤情報常置委員会
報告年月日  平成14年3月12日
議決された会議  第974回運営審議会
整理番号 18期−59

作成の背景

 2001年1月に中央省庁を1府12省庁に統合する改革が行われ、それにともなって行政組織のスリム化と公務員の削減が推進されている。その結果、国や地方公共団体の教育・文化施設の統廃合が計画・実施され、独立行政法人化が進行している。独立行政法人化と統廃合は、(1)東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、国立科学博物館や国立公文書館が独立行政法人化され、(2)国立歴史民俗博物館と国文学研究資料館史料館の合併、(3)東京都においても東京都近代文学博物館の廃止、東京都高尾自然科学博物館の存否に及んでいる。(4)図書館情報大学の筑波大学への統合も進行中である。これらの統廃合が、人員削減を重視しての統廃合であっては、教育文化の蓄積を瓦解させる恐れがある。 

現状及び問題点  

 この独立行政法人化と統廃合で、最も危惧されるのは、それらの施設・機関が社会的に果たしてきた機能が軽視され、中核的な役割を担ってきた専門職員が削減の対象になることである。具体的には(1)博物館・図書館の学芸員、司書の削減であり、文書館については、昭和62年12月制定の公文書館法で配置を明記すると同時に、当分の間は置かなくてもよいとされている専門職員(アーキビスト)の配置なしの措置は、法自体を改正すべきである。(2)学芸員・司書は、曲がりなりにも養成システムが大学の中に置かれ、図書館情報大学に於ては大学院博士課程がやっと設置され目下年次進行中である。これに対し歴史、考古、民俗、美術、自然の諸分野の学芸員が資料・標本の管理・保存等の専門家としての大学院教育は樹立されていないだけでなく、アーキビスト・キュウレータ・コンサベータ等については、専門職としての役割も明確化されていない。 

改善策・提言等

 これらの資料・標本の管理・保存の専門職員の養成については、当面次の措置をとる必要があると思われる。
@ 文書館専門職員(アーキビスト)の養成については、昭和26年の創設直後から近世史料(文書)の取り扱い講習を続けてきた現在の国文学研究資料館史料館の合併後においても、史料館の担ってきた史料管理学の体系化を図り、同時に国立公文書館等とも連携して、専門職養成教育の大学院レベルでの教育の拡充を行うべきである。
A 文化財・埋蔵文化財、人体・動植物標本、鉱物標本などの自然科学分野にも跨る資料・標本の管理・保存の専門職員であるキュウレータ・コンサベータ等の教育養成計画を早急に樹立し、その計画的配置が計画されるべきである。

報告書原文  全文PDFファイル(13k)

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1.アーキビスト2.キュウレータ・コンサベータ

関連学協会
国立博物館、国立公文書館、その他


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