日本学術の質的向上への提言
委員会名  学術の在り方常置委員会
報告年月日  平成14年7月22日
議決された会議  第979回運営審議会
整理番号 18期−54

作成の背景

 第18期学術の在り方常置委員会は、第17期までは第3常置委員会と呼ばれていた。第3常置委員会の役割は、「学術の動向の現状分析及び学術の発展の長期的動向に関すること」であった。この委員会は、第17期で『新たなる研究理念を求めて』(1999年4月)、『新たなる研究体制の確立に向けて』(2000年6月)、の2つの対外報告書をとりまとめた。同委員会の課題と深く関係する第17期科学技術の発展と新たな平和問題特別委員会は、対外報告書『科学技術の発展と新たな平和問題』(英文報告書:Developments in Science-Technology and New Threats to Peace)(1999年9月)をとりまとめている。こ
の英文報告書に対しては海外からも多くの反響が寄せられた。以上の諸報告書において共通して強調されたことがらは、俯瞰的視点から、実社会との融合を目ざす「統合科学」(注)の必要性を指摘した点にあるといってよいであろう。 

現状及び問題点  

 第18期日本学術会議活動計画は、@人類的課題解決のための日本の計画(Japan Perspective)、A学術の状況並びに学術と社会との関係に依拠する新しい学術体系、の2つを設定した。これらを受けて、第18期学術の在り方常置委員会は、「日本学術の質的向上への提言」をテーマとすることとした。その趣旨は、つぎのごとくである。
 日本の学術が、日本の今日の人口・産業経済の規模、生活水準、教育水準などからいって、先進諸国に比して十分な貢献をしていないのではなかろうか。日本が発展途上国であった明治以来、日本の学術はどちらかといえば、輸入学的傾向にあったが、先進国の仲間入りした今日なお全体として自前の学術の創造性に乏しいのではなかろうか。学術の欠乏を輸入で補う体質が強いのではなかろうか。日本の多くの研究者の目がいぜんとして国際社会ではなくて、日本国内の「仲間」だけに向けられているのではなかろうか。日本社会の生の諸問題を素材にして真に独創的研究を行う姿勢が希薄なのではなかろうか。こうした反省に立って、日本学術の質的向上を行い、日本を世界における学術の拠点とするにはどうあるべきかを検討することとした。なお、この課題の追究にあたって、私たちは学術自体が社会の人々の福祉に貢献するものでなければならないことを真摯に考える必要がある。国内社会にはこの学術の健全性を獲得・維持していくメカニズムが必ずしも十分に存在しない。そのためにも国際的評価を受けることが大切であることを銘記したい。 

改善策・提言等

この課題の追究は、究極的に学術の在り方として第17期の上記諸報告書の指摘した俯瞰的視点の具体化の問題にもつながる。私たちは、この課題について検討をすすめるうえにおいて、いままで別表のような各分野の専門家からヒヤリングを受けて慎重な審議を行った。本報告書は、これらの審議の結果をとりまとめたものである。

報告書原文  全文PDFファイル(303k)

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