学校における動物飼育に関する提言
委員会名  科学教育研究連絡委員会,
獣医学研究連絡委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−32

作成の背景

 幼稚園および小学校教育では、生物教育や道徳教育などを目的として、生活科、理科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等において動物飼育を奨励している(参考資料1、2)。動物飼育は子ども達に生物を愛護し生命を尊重する態度を育てるとともに、生命を理解させ、他人への愛情や共感を養うなどの効果を期待されている。また、学校における動物飼育体験や動物とのふれあいを通じて、いわゆる食農教育や食育教育の試みも行われている。

現状及び問題点  

 しかし、現在、小学校教員養成課程には動物飼育や動物と人の関係を学ぶ授業がないため、ほとんどの教師は動物飼育の子どもへの影響や意義、またその効果を得るための適切な飼育法などについての知識を持っていない。そのため、動物の生理、習性を考慮しない飼育が行われるなど、動物愛護の精神になじまない状況が見られ、その結果、子どもたちは動物の死に鈍感になったり、動物の惨状に心を痛める我が子を見た保護者が獣医師に助けを求めるなどの例が報告されている。

改善策・提言等

 このような状況を改善すべく、昭和50年代から各地で獣医師が学校での動物飼育に関わり、平成元年以降、教育委員会が獣医師会と連携して飼育支援事業を行なう例が増加した。また社団法人日本獣医師会は、平成10年に文部省に対して初等教育における動物を活用した情操教育の必要性を提言し、学校で飼育する動物の衛生管理、保健衛生指導等についての協力を申し出るなどのことが行われ、その後も継続して続けられている。
 しかし、全体として見れば教育委員会と獣医師会との連携はまだ少ない。このような状況に鑑みて、以下の3点の対策を推進することを提言する。
1) 教育に動物を効果的に利用する方法および、関係法令に従って動物を適切に飼育する方法についての基礎的教育を、教員養成課程に取り入れる。
2) 動物の飼育指導、疾病予防と治療、保健衛生指導、動物愛護教育指導等の推進のために、各地の教育委員会と獣医師会の協力関係を推進する。
3) 動物飼育の教育上の効果に関する研究を活性化し、その成果を教育現場に取り入れ、生命尊重、生命科学等の教育の充実を図る。

報告書原文  全文PDFファイル(23k)

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関連学協会
日本獣医師会、教育委員会、文部科学省


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