自然史系・生物系博物館における教育・研究の高度化について
委員会名  動物科学研究連絡委員会,植物科学研究連絡委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−27

作成の背景

 動物科学研究連絡委員会および植物科学研究連絡委員会は、第18期において博物館・学芸員問題を専門に討議するワーキンググループを発足させ、博物館の高度化にまつわる諸問題と具体策を協議したので、ここに対外報告書としてまとめるものである。

現状及び問題点  

 博物館の現状の解析から、わが国の多くの博物館が教育と研究における専門性を欠き、新しい時代に求められる高度な社会教育に対しても、また学界が期待する専門性ある学術研究に対しても、現状の博物館が十分に応えていないことが明らかとなった。

改善策・提言等

 そこで両委員会は、博物館を社会の期待に応える能力のある組織に改革することを目的に、博物館への教育と研究の専門性の付与、すなわち博物館高度化施策を提案する。具体的内容は以下のとおりである。
1) 学芸員制度の整備:a)学芸員資格の高度化、b)学芸員雇用数の絶対的増加、c)雇用体制の改善が必要である。高度な学芸員資格としてシニアキュレーター制度の創設を図る。
2) 博物館に対する科学研究費補助金の改革:文部科学省科学研究費(科研費)の博物館学芸員への幅広い申請資格付与を図る。
3) 博物館職員に対する再教育制度の確立:博物館の学芸員と博物館行政に携わる行政官(経営サイド)を統合する形で、教育・研究内容の高度化と高度化を実現するための施策についての再教育制度の確立を図る。再教育は、大学・大学院と指導的位置にある博物館に横断的な専用カリキュラムを設けることを提案する。
 これらの施策は自然史系・生物系博物館における緊急の課題として浮き彫りになっているが、その多くの部分は他の学問領域の博物館においても共通の課題として認められるものと考えられる。これらの施策を通じて、博物館が、見せることを目的とした受動的サービス施設に止まることを避け、新しい市民社会の中心的機構として、教育と研究を積極的に担うことのできる専門性ある組織とすることが、わが国の社会と文化の発展にとって急務となっているといえよう。

報告書原文  全文PDFファイル(50k)

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1.期待される博物館像2.現状の博物館の問題点3.現状の学芸員の問題点4.博物館と科学研究費補助金
5.シニアキュレーター6.専門性の高い館長を

関連学協会
国立科学博物館、ほか


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