ソーシャルワークが展開できる社会システムづくりへの提案
委員会名  社会福祉・社会保障研究連絡委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−21

作成の背景

 日本の社会福祉政策は、21世紀に入り、従来のような経済的救済のための金銭給付や福祉サービスを必要としている人を家庭や地域から切り離し、社会福祉施設に入所させる方式を改め、福祉サービスを必要としている個人の尊厳の保持を旨とし、福祉サービスを必要としている人の自己選択、自己決定を前提として、家族とともに地域で自立生活が可能になる方式へと転換させた。その方式では、多様な福祉サービスを保健医療サービスその他関連するサービスと有機的に、かつ総合的にサービス提供できるようにケアマネージメントを手段としたソーシャルワーク実践が欠かせないものになる。
 また、社会的には、福祉サービスを必要としている人を援助するだけではなく、家族全体の関係やその人の社会的関係を調整し、社会環境を整備しなければ地域での生活が成り立たないような複雑な問題を抱えた事象も増大してきている。例えば、子ども虐待問題、DV(家庭内暴力)問題、学校不登校問題、精神障害者の地域生活援助等の問題に適切に対応していくためには、その人や家族と社会・生活環境との関係に関わり、援助するソーシャルワーク実践がかかせないものになっている。

現状及び問題点  

 しかしながら、日本では社会福祉制度とその制度を実際に活用し、個別、具体的に援助する職員制度との間に整合性がない。
 また、その個別、具体的に援助する職員制度と専門職としての国家資格である、ソーシャルワーカーとしての社会福祉士や精神保健福祉士の養成、任用制度の間にも整合性がない。
 今求められているのは、地域自立生活を支援するソーシャルワークを、社会福祉士及び精神保健福祉士が実際に担えるシステムを構築することである。

改善策・提言等

本報告を通じて以下の提言を行った。
@ 地域自立生活上、何らかの生活支援を必要としている人に対するソーシャルワーク実践を展開できるシステムを各地方自治体毎に構築すること。
A 各地方自治体は社会福祉士及び精神保健福祉士をそのシステムの職員に任用すること。
B 社会福祉士及び精神保健福祉士養成大学は教育水準の向上を図ること。

報告書原文  全文PDFファイル(72k)

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1.ソーシャルワークとは2.ノーマライゼーションの思想3.ソーシャルインクルージョンの考え方
4.ソーシャルワークの再定義−2000年モントリオール大会にて
5.ソーシャルワーカーの広い活動範囲−医療、教育、雇用、司法に渡る
6.社会福祉と国際化−在住外国人の支援7.セーフティネット

関連学協会
・厚生労働省
・都道府県、市町村の保健福祉行政担当部局
・(社)社会福祉士養成校協会、日本社会事業学校連盟などの加盟教育機関
・ソーシャルケアサービス従事者研究協議会加盟の(社)日本社会福祉士会、(社)日本医療社会
事業協会、日本精神保健福祉士会等のソーシャルワーク職能団体
・「福祉研連」登録学協会(24学会)
・福祉科を設置している高校(約500校)


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