循環型社会システム構築のための鉱物・エネルギー資源分野の役割
委員会名  資源開発工学研究連絡委員会,エネルギー・資源工学研究連絡委員会地球・資源システム工学専門委員会
報告年月日  平成15年7月15日
議決された会議  第996回運営審議会
整理番号 18期−6

作成の背景

 1999年における有害物質の排出量は、「鉱物資源の生産」、「電力」、「化学工業」の順である(地球白書2002-2003:ワールドウォッチ研究所)という指摘もあり、鉱物資源生産は、背負っている環境負荷「エコリックサック」が大きいことは無視できない。
 循環型モデルにおいて、忘れてはならないのは、地球から資源を採取し、最終的には地球に廃棄物を戻すこと、すなわち、地球が出発点であり、最終点であるということである。したがって、モデルを考える場合、出発点である資源の採取から素材化までの過程を無視してはいけない。

現状及び問題点  

 鉱物資源のほとんどを海外、特に発展途上国、に依存している我が国にとって、資源生産国に大きな「エコリックサック」を残している。我が国へ輸入された精鉱の「エコリックサック」は小さいからといって、この問題を無視するわけにはいかない。我が国で培われている資源生産技術を積極的に海外に移転し、海外における鉱山の「エコリックサック」をいかに小さくするかも我が国に与えられた大きな課題である。我が国の産業基盤を支える素材の供給を、地球からの生産から地球に廃棄物として戻すまで、総合的に考えなければならない。

改善策・提言等

 資源研究を1)天然資源の枯渇への対応、2)地球温暖化問題の解決、3)鉱山開発等による環境負荷の低減の3つをターゲットとする研究として位置づけ、それぞれの研究分野における研究展開を述べるとともに、次の二つの提言を行なった。
 天然資源は地球の贈りものと考え、海外生産国における「エコリックサック」を可能な限り少なくするため、わが国の優れた環境保全技術を移転するための技術協力を積極的に進めるとともに、資源生産性を飛躍的に向上させ、環境負荷を低減するような技術開発を進めるべきである。
 また、現在使用されている金属それぞれについて、新たな供給とリサイクルの2つのケースについて経済性、枯渇性、必要なエネルギー、環境負荷を考慮し、新たな供給を中心に考えるか、リサイクルを中心とするか、あるいは代替品の開発を行うかを検討し、位置づけを明確にすべきである。

報告書原文  全文PDFファイル(582k)

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1.地球の有限性−マイケル・カーレー2.エコ・エコノミー−レスター・ブラウン
3.環境容量−ハンス・オプルホール4.地球が生き残るための条件−ヴッパタール研究所
5.エコリックサック−シュミット・ブレーク6.資源生産国のエコリュックサックと日本の使命
7.金属資源のリサイクルの重要性 ,8.天然資源の枯渇問題 ,9.地球温暖化問題,
10.鉱山開発や有害物質・廃棄物等による環境負荷問題,11.衛星リモートセンシング,
12.資源開発,13.リサイクル,14.物理探査,15.資源研究と大学,16.3R(リデュース、リユース、リサイクル)

関連学協会・団体ほか
独立行政法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門、財団法人資源・環境観測解析センター、
経済産業省資源エネルギー庁鉱物資源課、財団法人電力中央研究所


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