未来に調和した人工物設計・生産学術研究の推進
委員会名  人工物設計・生産研究連絡委員会
  設計工学専門委員会
報告年月日  平成12年5月29日
議決された会議  第935回運営審議会
整理番号 17期−59

作成の背景 

1.  我が国を含む工業先進国においては、必要以上の過剰な人工物の生産力を有しているが、これは過剰な人工物生産、消費、そして廃棄を意味しており、資源問題、地球環境問題、エネルギー問題などのさまざまの弊害の原因となっている。
2. このような状況を認識して、人工物の設計・生産のあり方について、量的充足を目指すばかりでなく、質的充足を目指したパラダイム転換が生起しつつある。
3. 人工物の進化の歴史は、設計の歴史でもある。すなわち、人工物設計・生産に関する学術研究には、文明論的な長期的な観点、人工物生産が持つ倫理的側面、人間生活における価値を考慮に入れ、今後は質的充足を求める方向性が必要である。

現状及び問題点 

 現在、工学に限らず学術研究には、研究成果の社会への還元が必要であると認識されている。しかし、現在推進されている学術研究施策は、目に見える成果還元を求める余り極めて短期的・中期的観点からの研究支援が中心となり、本来、学術研究が持っている長期的な視野に立った研究計画策定は抜け落ちやすい。とりわけ、文明論的側面、倫理的側面や価値なども含む人工物設計・生産が持つ意味を的確に据えた研究は、目先の利益に惑わされ欠落し勝ちである。

改善策・提言等

1. 未来に調和した技術開発を目指した学術研究を推進する研究体制の整備が必要であり、20年より先の長期間を意味すべきである。
2. そこで、人口物設計・生産が持つ人類の文明論的な視野、その倫理的側面や価値をも含む長期的な観点からの学術研究、「未来に調和した人工物の設計・生産」を念頭に置いた研究(例えばサービス工学やメンテナンス工学はそのテーマの候補である)を推進する体制の整備を行うことを提言する。
3. 具体的には、まず2年間程度の調査研究を行うタスクフォースを直ちに立ち上げ、長期の研究テーマを策定すると共に、研究推進体制についても検討する。その後、調査結果をもとに、直ちに研究推進体制の整備と実施に取りかかるべきである。

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ライフサイクルデザインユニバーサルデザイン,バリアフリー,人工物設計,人工物生産,平和問題,ベンチャー育成,サービス工学,メンテナンス,人工物

関連研究機関・団体・学協会
日本学術振興会未来開拓学術研究事業、科学技術振興事業団、新エネルギー・産業技術総合開発機構、
基盤技術研究促進センター




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