未来社会を支える「統合的化学工業」の構築と国際的ケミカルエンジニアの育成
委員会名  化学工学研究連絡委員会,物質創製工学研究連絡委員会化学プロセス工学専門委員会
報告年月日  平成12年2月28日
議決された会議  第932回運営審議会
整理番号 17期−25

作成の背景  

21世紀のわが国の化学産業は,環境調和・物質循環社会の構築に貢献するとともに,大量生産・大量消費型の汎用製品から,多様で高機能な製品への事業構造改革を,厳しい国際競争の中で推進していかねばならない。そのためには,化学技術の高度化と適用領域の拡大,化学工業の再構築,ならびに国際的に活躍できる人材育成の推進について,抜本的な対策が求められている。本報告はそれらの課題についての検討結果と提言を纏めたものである。

改善策・提言等

環境調和・物質循環型社会の構築と化学産業の創成のために,基本的で共通性のある「基盤技術」の開発を産官学が連携して推進する必要がある。
1. 物質のメゾスコピックな構造を制御するための基盤技術
2. 高分子材料精密製造プロセスの基盤技術
3. 触媒を利用する基盤技術
4. 超臨界気体を用いる基盤技術
5. バイオテクノロジーを用いる基盤技術
6. 物質循環のための基盤技術
基盤技術を確立するための工学的体系として,「統合的化学工学」を構築する。それは次のような特性をもつ工学体系である。
1. 科学と工学を融合・統合した工学体系の工学である。
2. 物質の生産と処理のための新しい場の開拓に貢献できる工学である。
3. 高度な精密構造制御や微細加工技術の開発に貢献できる工学である。
4. ミクロな現象の解明による新しい装置設計法の確立に応える工学である。
5. 地球環境・物質循環という巨大なシステムから原子・分子レベルの微視的システムに至る多様なシステムの物質・エネルギー変換プロセスを対象にする工学である。
これら,基盤技術の開発を産官学が協力して実践し,かつ,その研究・開発の過程で得られる成果を「統合的化学工学」の構築に結実させてるために,「化学技術統合研究機構」の設立を提言する。
ケミカルエンジニア教育,資格に関しては,その要として学会に基礎を置く「ケミカルエンジニア人材育成センター」の設立を提案する。このセンターはケミカルエンジニア教育プログラムの策定・審査・認定の機能を持ち,日本技術者教育認定機構(JABEE)と相補的に働き,技術者教育プログラム,技術者資格の国際的認証に関しても,この分野における中心的役割を果たす。さらに産官学の教育補完,技術者の生涯教育に対してネットワークの要としての役割を果たす。

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1.化学技術に対する社会からの期待2.化学技術に対する産業からの期待3.期待される化学技術における基盤技術4.統合的化学工学5.国際的ケミカルエンジニア
関連研究機関・学協会
通商産業省工業技術院,社団法人化学工学会,通商産業省基礎産業局


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