原子力の利用に伴う安全確保の体制について
−省庁統合後の安全確保の体制に関する提言−


「核科学総合研究連絡委員会報告」

平成12年3月27日

日本学術会議
核科学総合研究連絡委員会


 この報告は、第17期日本学術会議 核科学総合研究連絡委員会の審議結果を取りまとめて発表するものである。

核科学総合研究連絡委員会

委員長 柴田徳思 日本学術会議第4部会員・高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター長
幹事 阿部勝憲 東北大学大学院工学研究科教授
幹事 井戸達雄 東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター教授
幹事 稲葉次郎 環境科学技術研究所部長
幹事 岸本 浩 日本原子力研究所理事
幹事 佐々木正夫 京都大学放射線生物研究センター教授
幹事 籏野嘉彦 東京工業大学理学部教授
幹事 西原英晃 京都大学名誉教授
幹事 宮健三 東京大学大学院工学系研究科教授
秋山守 エネルギー総合工学研究所理事長
石井慶造 東北大学大学院工学研究科教授
伊藤智之 九州大学応用力学研究所炉心理工学研究センター教授
岩本昭 日本原子力研究所物質科学研究部次長
大西武雄 奈良県立医科大学教授
大橋弘士 北海道大学大学院工学研究科教授
小野哲也 東北大学大学院医学系研究科教授
河内清光 放射線医学総合研究所総務官
草間朋子 大分県立看護科学大学学長
栗原紀夫 京都大学名誉教授
佐々木康 人放射線医学総合研究所所長
関本博 東京工業大学原子炉工学研究所教授
田川精一 大阪大学産業科学研究所教授
玉野輝男 筑波大学プラズマ研究センター教授
茅野充男 秋田県立大学教授
巽紘 一 放射線医学総合研究所部長
中沢正治 東京大学大学院工学系研究科教授
中村尚司 東北大学工学部教授
西川雅弘 大阪大学大学院工学研究科教授
西川正史 九州大学工学部教授
野村大成 大阪大学医学部教授
日野友明 北海道大学大学院工学研究科教授
松原純子 原子力安全委員会委員
的場 優 九州大学工学部教授
藤原正巳 核融合科学研究所長
溝尾宣辰 核燃料サイクル機構 技術主席
三井恒夫 東京電力株式会社最高顧問
三間圀興 大阪大学レーザー核融合研究センター教授
母里知之 東海大学医学部教授
森嶋彌重 近畿大学原子力研究所教授
山根義宏 名古屋大学大学院工学研究科教授
吉川栄和 京都大学エネルギー科学研究科教授


ワーキンググループ

委員長 柴田徳思 日本学術会議第4部会員・高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター長
稲葉次郎 環境科学技術研究所部長
佐々木正夫 京都大学放射線生物研究センター教授
田川精一 大阪大学産業科学研究所教授
中沢正治 東京大学大学院工学系研究科教授
西川正史 九州大学工学部教授
宮健 三 東京大学大学院工学系研究科教授


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目 次

1. はじめに

2. 現在の規制体制

3. 省庁統合後の体制

4. 省庁統合後の規制体制における問題点

5. 提言

資料

1)中央省庁等改革の推進に関する方針(抄)

2)中央省庁等改革関連法案(抄)
内閣府設置法案(抄)
文部省設置法案(抄)
経済産業省設置法案(抄)
中央省庁改革のための国の行政組織関係法律の整備等に
関する法律案のうち、文部省関係(抄)

3)原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(抄)

4)放射線障害の防止の技術的基準に関する法律(抄)

5)科学技術庁原子力安全局の各課の所掌事務

6)資源エネルギー庁の中の原子力発電安全企画審査課、原子力発電安全管理課、原子力発電運転管理室の所掌事務

7)安全確保の体制図


1. はじめに

 放射性同位元素等や核燃料物質等を用いる研究、利用は近い将来さらに発展すると思われる。医学分野における放射性同位元素の利用は現在も広く行われているが、新たな放射性同位元素が治療や診断に利用されることが予想される。
また、短半減期放射性同位元素を加速する技術が基礎研究の分野で始められているが、材料の物性を探る手段として発展すると考えられ、新機能材料の開発などに広く使われると考えられる。

 21世紀は生命科学の時代といわれている。生命科学の分野の発展には放射性同位元素の利用は不可欠である。我国では放射性同位元素を使用する上での規制がかならずしも合理的でないためにその利用が進めにくく、例え精度が落ちても放射性同位元素を使わずに代替法に移る傾向が強い。
安全を確保しながら研究を推進できる適正な規制の整備が大きな課題である。

 加速器の利用は、現在、医療分野に広がっているが、将来、大強度の加速器が中性子源、長半減期放射性廃棄物の消滅処理、エネルギー増幅などに利用される可能性は大きい。
核融合の分野では、大型の装置で大量のトリチウムを用いる計画が進むと考えられる。

 このような研究や利用には、既存の規制では対処できない事例も生じ、科学技術の発展に伴う適正な規制が求められる。
規制を担当する組織が十分な体制を持たないと、とかく保守的な規制となり、新たな利用に対する大きな障害となりかねない。

 放射性廃棄物の最終処分の議論が進められているが、極低レベルの放射性廃棄物を一般産業廃棄物として処分するクリアランスの基準、浅地埋設等の処分に関する基準が定められ、処分が実行に移されると、一般の人に身近な問題として放射線の安全性が一層重要視される。これらの処分を円滑に進めるには国民の放射線安全行政に対する信頼が最も重要である。

 省庁統合後に考えられている放射線安全行政は、あるべき姿とは大きくかけ離れ、我国の科学技術国家としての正常な発展を阻害すると懸念される。

 原子力分野の安全研究は、原子力安全委員会が重要課題の調査を行い、年次計画として策定しているが、独自の予算を持って安全研究を進めているわけではない。
安全研究のための独自の予算を確保し、我国の安全研究に携わる多くの研究者が寄与できる仕組みを作り推進を図ることが望まれる。

 核科学総合研究連絡委員会では、これらの問題を検討すべくワーキンググループを設置し、検討を行った。検討の結果を核科学総合研究連絡委員会でさらに検討し報告書としてとりまとめた。

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2. 現在の規制体制

 放射性同位元素等や核燃料物質等を利用する上での安全を担当する組織は、総理府に置かれた原子力安全委員会、科学技術庁の原子力安全局及び科学技術庁に置かれた放射線審議会となっている。以下に、それぞれの所掌する事務を示す。

原子力安全委員会

原子力安全委員会の所掌事務は、
(1)原子力利用に関する政策のうち、安全の確保のための規制に関する政策に関すること。
(2)核燃料物質及び原子炉の規制のうち、安全確保のための規制に関すること。
(3)原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること。
(4)放射性降下物による障害の防止に関する対策の基本に関すること。
(5)その他、原子力利用に関する重要な事項のうち、安全の確保のための規制に係るものに関すること。

とされている。
これらについて企画し、審議し、決定を行い、内閣総理大臣はこの決定について報告を受けたときは、これを十分に尊重しなければならない、とされている。
原子力安全委員会の庶務は科学技術庁原子力安全局原子力安全課が行っている。

科学技術庁原子力安全局

科学技術庁原子力安全局が行う事務は、
(1)核燃料物質及び原子炉の規制に関すること。
(2)原子力の利用に伴う障害防止に関すること。
(3)放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策の総合調整に関すること。
(4)その他、原子力利用に関し他の行政機関に属しない事務のうち原子力利用に関する安全の確保に関すること。

とされている。
科学技術庁原子力安全局には、原子力安全課、原子炉規制課、核燃料規制課、放射線安全課が置かれ、安全や規制に関する事務を担当している。(それぞれの所掌事務は資料に示した。)

資源エネルギー庁

通産省の外局である資源エネルギー庁には、原子力発電の安全や規制を担当する課として公益事業部の中に原子力発電安全企画審査課、原子力発電安全管理課及び原子力発電運転管理室が置かれている。これらの課・室が発電用原子炉の安全や規制を担当している。(それぞれの所掌事務は資料に示した。)

放射線審議会

 放射線障害の防止に関する規制は、原子力の利用が広く行われていることに関連し、それぞれの立場から放射線障害を防止するために、電離放射線障害防止規則、人事院規則10 ‐5、医療法施行規則、放射性医薬品の製造及び取扱規則、放射性同位元素等車両運搬規則、船員電離放射線障害防止規則、などが定められ、関係する省庁が多い。このため、放射線の防止に関する技術的基準の斉一を図るため放射線審議会が科学技術庁に置かれ、関係行政機関の職員が委員となり、各省庁間の調整を図ることがなされている。

 放射線審議会は、次の事項を調査審議すると定められている。
(1)放射線障害の防止に関する技術的基準に関すること。
(2)自然に賦存する放射性物質から発生する放射線、核爆発に伴う放射性生成物から発生する放射線等の線量及びこれらの発生する物の放射性物質量の測定方法に関すること。

 放射線審議会は、これらの事項を審議し、関係行政機関の長の諮問に答申し、かつ、必要に応じ、関係行政機関の長に意見を述べることができる。
さらに、関係行政機関の長は、放射線障害防止に関する技術的基準を定めようとするときは、審議会に諮問しなければならない。
とされている。

 放射線審議会の庶務は科学技術庁原子力安全局原子力安全課が担当している。
 この様に、現在の原子力利用に伴う安全確保は、発電用原子炉に関することを除き、科学技術庁の原子力安全局にその情報が集められ、1元化した体制が取られている。

 この体制で、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律および放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に定められた、原子力の利用に係る安全の確保に努めている。
 また事故等が起これば、担当する職員や委員が現場の調査・確認を行い改善策を確認するなど安全の向上に努めている。

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3. 省庁統合後の体制

 省庁統合後の原子力利用に伴う安全の確保のための規制を担当する組織は、中央省庁等改革関連法律案によると、以下のように考えられる。
 原子力安全委員会は、「原子力基本法」及び「原子力委員会及び原子力安全委員会設置法」に基づく委員会として内閣府に置かれる。

 文部科学省には、科学技術・学術政策局が置かれ、その主な所掌事務は、国の行政組織等の減量、効率化等に関する大綱によれば
(1)科学技術の総合的な振興政策
(2)学術振興政策
(3)科学技術の研究開発に関する具体的な計画
(4)研究者、技術者等の養成、確保
(5)放射線障害防止、環境放射能調査等
となっている。

 また、文部科学省設置法案によると原子力利用に伴う安全の確保に関する所掌事務は
(1)試験研究の用に供する原子炉及び研究開発段階にある原子炉(発電の用に供するものを除く)並びに核原料物質及び核燃料物質の使用に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。
(2)原子力の安全の確保のうち科学技術に関すること。
(3)放射線の障害の防止に関すること。
(4)放射能水準の把握のための監視及び測定に関すること。
とされている。

 放射線審議会は、放射線障害防止の技術的基準に関する法律に基づく審議会として文部科学省に置かれる。
但し、審議会の委員の構成について、現在、「委員は、関係行政機関の職員及び放射線障害の防止に関し学識経験のある者の内から、内閣総理大臣が任命する」となっているところ「委員は、放射線障害の防止に関し学識経験のある者の内から、文部科学大臣が任命する」とされ関係行政機関の職員は入らず、委員の定数は30人から20人へ削減される。

 経済産業省設置法案によると、経済産業省の外局として資源エネルギー庁が置かれ、その中の特別な機関として原子力安全・保安院が設置される。

 原子力安全・保安院は、原子力その他のエネルギーに係る安全及び産業保安の確保を図るための機関とする、とされている。その所掌事務のうち原子力利用に伴う安全の確保に関するものは、
(1)原子力に係る精錬、加工、貯蔵、再処理、及び廃棄の事業並びに発電用原子力施設に関する規制その他これらの事業及び施設に関する安全の確保に関すること。
(2)エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関すること。
(3)所掌事務に関する国際協力に関すること。
(4)その他、法律に基づき経済産業省に属させられた事務。
とされている。

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4. 省庁統合後の規制体制における問題点

(1)原子力安全委員会は、これまで科学技術庁内の原子力安全局と密接な関係が有り、様々な現場における問題点に関する情報を把握することができた。省庁統合後は原子力安全委員会のみが内閣府に置かれるため、十分な調査能力を持たず、様々な現場での安全確保に対し、万全の体制が取れないことが懸念される。

(2)原子力安全委員会は、原子炉の安全について第二段審査の立場から万全の体制を取ってきた。しかし、放射線障害の予防に関する基本的な考え方については放射線審議会に多くを委ね、十分に検討してきたとは言えない。放射線審議会が文部科学省に移ることから、関係行政機関にわたる基本的考えを確立し規制体制に反映させることが重要となる。原子力安全委員会がこれまでと同様な方針であると十分な安全規制が図れない。

(3)放射性同位元素等の規制は、労働安全衛生法、医療法、国家公務員法、薬事法など各省庁に関係している。放射線審議会の委員から関係行政機関の職員が抜けるので放射線障害の防止にかかわる技術的基準について各省庁間の調整が困難となることが予想される。

(4)現在、発電用原子炉を除く原子炉施設や放射線施設における事故は、科学技術庁が総理府に置かれているために関係省庁と協議の上速やかに適切な対策が取れる体制にあるが、文部科学省や経済産業省の一部署となると、速やかな対応が取りにくくなる。

(5)文部科学省の科学技術・学術の推進に責任を持つ局の一部が核燃料物質等の使用や放射線等の規制を担当する場合、利用と規制を同じ局内で扱うことになり、第三者的な立場からの安全行政への取り組みが疑われるとともに、審査や検査に当たる職員の士気にもかかわる。

(6)分断化された規制体制になるため、それぞれの部署における人員等体制が十分でなくなる。このため規制の対応が遅れ、新たな科学技術の進展に応じた適切な規制で対応できず、科学技術の進展に大きな支障をきたす恐れがある。
現在でも加速器の利用に関する規制や医療分野における短半減期核種の利用に関する規制について、日本学術会議を始め多くの組織が、規制の適正化についての提言を行っているが、十分に対応できているとはいえない。このような問題がさらに助長されるおそれがある。

(7)現在の放射線の障害防止に関する規制体制でも、その体制が十分でないために、超大規模事業所や小規模事業所が一律規制となっている。このため管理の負担が多く、放射性物質を用いる研究を研究者が厭い、信頼度が悪くても代わりの研究法に移る傾向にある。科学技術の進展を図るためこのような状況を早急に改善する必要があるが、省庁改革後は、このような事情をますます悪くすると懸念される。

 終わりに、わが国における原子力分野の安全研究についての問題点に触れる。
現在、原子力分野の安全研究は、原子力安全委員会が重要課題の調査を行い年次計画として策定しているが、独自の予算を持って研究を進めているわけではない。
このため、各研究機関で安全研究を進める時に、高い順位で予算要求を行なう必要があるが、他の研究と競合するため十分な予算措置がなされているとはいえない。
原子力安全委員会は独自の予算を持ち、全国の研究者の力を結集して原子力安全研究が進められるよう研究体制を充実することが望まれる。

 このような問題を改善するには、内閣府に置かれた原子力安全委員会の下に一元化された規制体制を整備する必要がある。以下に提言をまとめた。


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5.提言

 規制が内閣府、文部科学省、経済産業省と分散されることは原子力安全行政として望ましくない。総理大臣の責任のもとに第三者的な立場から一元化された規制を行う体制を内閣府に構築する必要があり、十分に検討し早急に実現を図るべきである。

 体制が整うまでの間は以下の点に十分な考慮を払うこと。

1. 原子炉の安全規制は、定められた担当部署が第一段審査を行い、原子力安全委員会は、第二段審査という重要な役割を果たしてきた。これについては今後も国民の期待にこたえるべく、第一段審査とは異なる立場からの審査を行うという役割を果たすことが重要である。一方、放射線障害の防止に関する事項の検討に関しては、その技術基準を定める事に関し、放射線審議会が検討を行ってきた。このため原子力安全委員会が放射線障害の防止に関する基本的な事項の審議を十分に行ってきたとは言えない。今後、これを積極的に行うこと。


2. 放射線審議会が文部科学省の審議会となることから、省庁間の調整が十分に行えない懸念が生じる。原子力安全委員会は放射線審議会と密接な連携のもとに原子力安全委員会の基本方針に添って省庁間の調整を行うこと。


3. 内閣府に原子力安全委員会のみが残ること、また、放射線障害の防止に関して、原子力安全委員会の関与がより大きくなる必要があることを考えると、原子力安全委員会は十分な調査能力を持つ充実した組織を持つこと。


4. 文部科学省に置かれる放射線障害の防止に係わる関係組織に関して、規制の一層の適正化を図り、新たな科学技術に対する適切な規制を図ることができるように、十分な組織体制を整えること。

5. 原子力の安全に関する研究はこれまでも行われてきたが、全国の研究者の力を結集して原子力安全研究が行えるよう、原子力安全委員会は独自の予算を確保して、研究の推進を図ること。


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資料

1)中央省庁等改革の推進に関する方針(抄)

2)中央省庁等改革関連法律案(抄)
2.内閣府設置法案(抄)
9.文部科学省設置法案(抄)
12.経済産業省設置法案(抄)
15.中央省庁改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案 第九章文部省関係(抄)

3)原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(抄)

4)放射線障害の防止の技術的基準に関する法律(抄)

5)科学技術庁原子力安全局の各課の所掌事務

6)資源エネルギー庁の中の原子力発電安全企画審査課、原子力発電安全管理課、原子力発電運転管理室の所掌事務

7)安全確保の体制図

1)中央省庁等改革の推進に関する方針(抄)

平成11年4月27日
中央省庁等改革推進本部決定


T 国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画
(略)
別紙
T国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画
第3組織整理等関連
1. 官房及び局の整理
関係の官房及び局の名称について
(略)
文部科学省 大臣官房、生涯学習政策局、初等中等教育局、高等教育局、
科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局、スポーツ青少年局
(略)


U 審議会等の整理合理化に関する基本計画
(略)
別表審議会等の整理合理化関係
(略)
(1)基本的政策型審議会(22審議会等)
(略)
(2)法施行型審議会(42審議会等)
(略)
放射線審議会
(以下略)



2)中央省庁等改革関連法律案(抄)

(略)

2.内閣府設置法案(抄)
(略)
第三章 組織
(略)
第三節 本府
(略)
第三款 審議会等
(設置)
第三十七条 本府に、国民生活審議会を置く。
(略)

3 第一項に定めるもののほか、別に法律に定めるところにより内閣府に置かれる審議会等で本府に置かれるものは、次の表に掲げるものとし、それぞれ同表の下欄に掲げる法律(これらに基づく命令を含む。)
の定めところによる。

(以下略)


9.文部科学省設置法案(抄)
(略)
第二章 文部科学省の設置並びに任務及び所掌事務
(略)
第四条 文部科学省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

(略)
七十 試験研究の用に供する原子炉及び研究開発段階にある原子炉(発電の用に供するものを除く。)並びに核原料物質及び核燃料物質の使用に関する
規制その他これらに関する安全の確保に関すること。
七十一 原子力の安全の確保のうち科学技術に関するものに関すること。
七十二 放射線による障害の防止に関すること。
七十三 放射能水準の把握のための監視及び測定に関すること。
(略)

第三章 本省に置かれる職及び組織
(略)
第六条 本省に、次の審議会等を置く。
科学技術・学術審議会
宇宙開発委員会
2 前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより文部科学省に置かれるものは、放射線審議会とする。
(以下略)

12.経済産業省設置法案(抄)
(略)
第二章 経済産業省の設置並びに任務及び所掌事務
(略)
第四条 経済産業省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
(略)
五十八 原子力に係る精錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄に事業並びに発電用原子力施設に関する規制その他これらの事業及び施設に関する安全の確保に関すること。

五十九 エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関すること。

六十 火薬類の取締り、高圧ガスの保安、鉱山における保安その他の所掌に係わる保安(以下「産業保安」という。)の確保に関すること。

(略)
六十三 所掌事務に係る国際協力に関すること。
(略)
六十五 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき経済産業省に属させられた事務。
(略)

第4章 外局
(略)
第十四条 国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、経済産業省に、次の外局を置く。
資源エネルギー庁
特許庁
(略)

第三款 特別の機関
(原子力安全・保安院)
第二十一条 資源エネルギー庁に、原子力安全・保安院を置く。
2 原子力安全・保安院は、原子力その他のエネルギーに係わる安全及び産業保安の確保を図るための機関とする。

3 原子力安全・保安院は、第四条第一項五十八号から第六十号まで、第六十三号及び六十五号に掲げる事務をつかさどる。

4 原子力安全・保安院の長は原子力安全・保安院長とする。

5 原子力安全・保安院の職員(原子力安全・保安院長を除く)の任免は、原子力安全・保安院長が行う。

6 原子力安全・保安院の位置及び内部組織は、政令で定める。
(以下略)

15. 中央省庁改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案
(略)
第九章 文部省関係(抄)
(略)
第七十四条 放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和三十三年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

第四条中「科学技術庁」を「文部科学省」に改める。

第五条を次のように改める。
(審議会の所掌事務)
第五条 審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

2 審議会は、前項に規定する事項に関し、関係行政機関の長に意見を述べることができる。

第七条第一項中「三十人」を「二十人」に改め、同条第二項中「関係行政機関の職員及び」を削り、「内閣総理大臣」を「文部科学大臣」に改め、同条第4項「(関係行政機関の職員のうちから任命された委員を除く。)」を削り、同条第五項中「前項の」を削る。

(以下略)



3)原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(抄)

昭和30年12月19日
法律 第188号

第1章 総則
(目的及び設置)

第1条 原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する行政の民主的な運営を図るため、総理府に原子力委員会及び原子力安全委員会を置く。

第2章 原子力委員会
(所掌事務)

第2条 原子力委員会(以下この章において「委員会」という。)は、次の各号に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する。
(1) 原子力利用に関する政策に関すること。
(2) 関係行政機関の原子力利用に関する事務の総合調整に関すること。
(3) 関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積り及び配分計画に関すること。
(4) 核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること(原子力安全委員会の所掌に属するものを除く。)。
(5) 原子力利用に関する試験研究の助成に関すること。
(6) 原子力利用に関する研究者及び技術者の養成訓練(大学における教授研究に係るものを除く。)に関すること。
(7) 原子力利用に関する資料の収集、統計の作成及び調査に関すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか、原子力利用に関する重要事項に関すること(原子力安全委員会の所掌に属するものを除く。)。
(組織)

第3条 委員会は、委員長及び委員4 人をもって組織する。
(略)

第3章 原子力安全委員会
(所掌事務)

第13条 原子力安全委員会(以下この章において「委員会」という。)は、次の各号に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する。
(1) 原子力利用に関する政策のうち、安全の確保のための規制に関する政策に関すること。
(2) 核燃料物質及び原子炉に関する規制のうち、安全の確保のための規制に関すること。
(3) 原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること。
(4) 放射性降下物による障害の防止に関する対策の基本に関すること。
(5) 第1 号から第3 号までに掲げるもののほか、原子力利用に関する重要事項のうち、安全の確保のための規制に係るものに関すること。

(組織)

第14条 委員会は、委員5人をもって組織する。
2 委員のうち2人は非常勤とすることができる。
(以下略)



4)放射線障害の防止の技術的基準に関する法律(抄)

昭和33年5月21日

法律 第162号

(目的)
第1条 この法律は、放射線障害の防止に関する技術的基準策定上の基本方針を明確にし、かつ、科学技術庁に放射線審議会を設置することによって、放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「放射線」とは、アルファ線、重陽子線、陽子線、ベータ線、電子線、中性子線、ガンマ線、エックス線その他電磁波又は粒子線で直接又は間接に空気を電離する能力を有するものをいう。

(基本方針)
第3条 放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当たっては、放射線を発生する物を取り扱う従業員及び一般国民の受ける放射線の線量をこれらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることもって、その基本方針としなければならない。

(放射線審議会の設置)
第4条 科学技術庁に、放射線審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(審議会の所掌事務)
第5条 審議会は、次に事項を調査審議する。

(1) 放射線障害の防止に関する技術的基準に関すること。

(2) 自然に賦存する放射性物質から発生する放射線、核爆発にと伴う放射性生成物から発生する放射線等の線量及びこれらを発生する物の放射性物質量の測定方法に関すること。

2 審議会は、前項の事項に関し、関係行政機関の長の諮問に答申し、かつ、必要に応じ、関係行政機関の長に意見を述べることができる。

(審議会への諮問)
第6条 関係行政機関の長は、放射線障害の防止に関する技術的基準を定めようとするときは、審議会に諮問しなければならない。

(審議会の組織)
第7条 審議会は、委員30人以内で組織する。

2 委員は、関係行政機関の職員及び放射線障害の防止に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

3 委員は、非常勤とする。

4 委員(関係行政機関の職員のうちから任命された委員を除く。)の任期は、2年とする。

5 前項の委員は、再任されることができる。

(審議会の会長)
第8条 審議会に会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。

(資料提出の要求等)
第9条 審議会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

(政令への委任)
第10条 前3条に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(以下略)



5)科学技術庁原子力安全局の各課の所掌事務

原子力安全課

(1)局の事務の総合調整に関すること。
(2)原子力利用に伴う障害防止に関すること。
(3)放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策の総合調整に関すること。
(4)放射能水準の総合的調査に関すること。
(5)原子力委員会の庶務に関すること。
(6)原子力安全委員会の庶務に関すること。
(7)放射線審議会の庶務に関すること。
(8)原子力安全局の所掌事務で他課の所掌に属しない事務に関すること。

原子炉規制課
原子炉の規制に関する事務をつかさどる。

核燃料規制課
(1)核燃料物質の規制に関すること。
(2)核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定による核原料物質の使用の規制に関すること。
(3)核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定による核燃料物質の防護に係る規制に関する事務のうち科学技術庁の所掌に係るものの総括に関すること。

放射線安全課
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の施行に関する事務をつかさどる。



6)資源エネルギー庁の中の原子力発電安全企画審査課、原子力発電安全管理課、原子力発電運転管理室の所掌事務

原子力発電安全企画審査課
(1)通産省の所掌に係る原子力発電に関する安全の確保に関する政策の企画及び立案に関すること。
(2)実用発電用原子炉の設置等の許可に関すること。
(3)実用発電用原子炉の設置者の地位の承継に関すること。
(4)実用発電用原子炉の解体に関すること。
前各号に揚げるもののほか、原子力発電に関する安全の確保に関すること(他の所掌に属することを除く)

原子力発電安全管理課
(1)発電用原子力施設(タービン及び補助ボイラーをのぞく)の工事、維持及び運用
(2)発電用核燃料物質の検査に関すること
(3)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の施行に関すること
(原子力発電安全企画審査課の所掌に属することを除く)

原子力発電運転管理室
(1)発電用原子力施設(タービン及び補助ボイラーをのぞく)の運用に関すること。
(2)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の施行に関する事務のうち原子炉の運転に関すること。(原子力発電安全企画審査課の所掌に属することを除く。)


7)安全確保の体制図