社会サービスに関する研究・教育の推進について

「社会福祉・社会保障研究連絡委員会報告」

平成12年5月29日

日本学術会議
社会福祉・社会保障研究連絡委員会報告


 この報告は、第17期社会福祉・社会保障研究連絡委員会の審議結果を取りまとめて、発表するものである。

社会福祉・社会保障研究連絡委員会

委員長  仲村 優一(日本学術会議第1部会員、淑徳大学社会学部学術顧問、日本社会事業大学名誉教授)

幹 事  大橋 謙策(日本社会事業大学社会福祉学部教授)
     田端 光美(日本女子大学人間社会学部教授)

委 員  右田紀久恵(広島国際大学副学長)
     岡本 民夫(同志社大学文学部教授)
     根本 博司(明治学院大学社会学部教授)
     降矢 憲一(日本大学経済学部非常勤講師)
     星野貞一郎(東京福祉大学学長)
     山手  茂(東洋大学社会学部教授)
     吉沢 英子(大正大学人間学部教授)


要  旨

報告書の内容

(1)作成の背景
 国内外における最近の社会福祉および社会サービスの動向を検討し、本委員会の活動経過を踏まえて、社会サービスに関する政策的、実践的な課題と研究・教育の課題を検討した結果をまとめたものである。

(2)現状および問題点
・今日では、福祉サービスの利用を必要とする者は、低所得者にとどまらず、子どもから高齢者まで、障害者、慢性疾患患者を含む生活上何らかの障害を
有し、自立生活のための支援を要するすべての人びとである。
・したがって、社会福祉の目標は、従来の低所得者に対する救貧的なサービス提供に加え、広くすべての人が、各ライフ・ステージ毎のニーズに応じて普遍的に利用できるサービスヘと転換しつつある。
・それに伴い、国民の生活を保障する考え方として、社会福祉・社会保障の概念をより広げてとらえ「社会サービス」という概念を用いて生活全般を統合的に保障する方向にある。
・しかしながら、わが国では、社会サービスに関する研究・教育はまだ未整備の状態である。

(3)改善案、提言などの内容
・社会サービス研究は、学際的な方法を用いて、政策課題と実践課題を「俯瞰的な視点」から研究する必要のある分野のひとつである。
・社会サービスの発展に伴う「正の効果」の発揮に加え、俯瞰型研究の目的のひとつである「負の効果の発生、その可能性の早期発見、抑止・除去方法の開発」への対応が求められる。
・マクロ・メゾ・ミクロの3レベルの総合的な研究が必要である。
・社会サービスに関する以下の諸課題を踏まえた研究・教育の推進が強く要請される。
@社会サービスのハード面とソフト面の総合化
A保健・医療・福祉サービスの総合化−ケアマネジメントの確立
B生活環境のバリアフリー化とコミュニティ形成
Cコミュニティ・ソーシャルワークのシステムづくりと人材養成
D保健・医療・福祉専門職の倫理と専門性の確立・向上


要旨画面へ

目次

要 旨

はじめに


1.社会福祉・社会保障研究連絡委員会の活動経過

2.社会サービス研究の課題と方法
 (1)「社会サービス」という概念の重要性
 (2)社会サービス研究の課題
 (3)社会サービス研究の方法

3.社会サービスの課題
 (1)社会サービスに関する研究・教育の課題と政策・実践の課題
 (2)地域を基盤としたソーシャルワークを展開するためのシステムづくりと人材養成
 (3)社会サービスのハード面とソフト面の総合化−自治体のソーシャル・アドミニストレーション・システムの確立
 (4)保健・医療・福祉サービスの総合化−ケアマネジメントの確立
 (5)生活環境のバリアフリー化とコミュニティ形成
 (6)保健・医療・福祉専門職の倫理と専門性の確立・向上

おわりに


はじめに

 第16期社会福祉・社会保障研究連絡委員会は、平成9(1997)年3月31日、「社会福祉に関する研究・教育体制の拡充・強化について−高齢社会に対応する社会サービスの総合化対策の一環として−」(報告)を発表した。この報告書は、社会福祉学関係の諸学会・関連分野の諸学会をはじめ、社会福祉・社会サービス分野の政策立案の担当者や専門職従事者によって参考にされ、政策研究や実践研究に活用されている。

 第17期本委員会は、第16期本委員会報告を踏まえつつ、今期3年間の国内外の社会福祉および社会サービスの動向を検討し、「社会サービスに関する研究、教育の推進について」の提言をまとめた。

TOP



.社会福祉・社会保障研究連絡委員会の活動経過

 日本学術会議は、@独立して科学に関する重要事項を審議しその成果の実現を図ること、A科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること、を使命としている。社会福祉学については、昭和49(1974)年5月、第65回総会の決議に基づいて「社会福祉の研究・教育体制などについて」を内閣総理大臣に勧告した。その後、社会福祉・社会保障研究連絡委員会は、下記のような意見・報告をまとめ、発表している。

1)昭和62(1987)年「社会福祉におけるケアワーカー(介護職員)の専門性と資格制度について」(意見)
2)平成3(1991)年「ソーシャルワーカーの教育・研究について(特に保健・ 医療領域におけるソーシャルワーカーの資格・教育などを中心に)」(意見)
3)平成9(1997)年「社会福祉に関する研究・教育体制の拡充・強化について−高齢社会に対応する社会サービスの総合化対策の一環として−」(報告)

 なお、上記の意見・報告の他に、日本学術会議に設けられた「高齢化社会の多面的検討特別委員会」(第16期)および「少子社会の多面的検討特別委員会」(第17期)に、社会福祉・社会保障に関する課題を検討した結論をまとめて提出した。

 本報告書は、本委員会の活動経過をふまえて、社会サービスに関する政策的・実践的な課題と研究・教育の課題を検討した結果をまとめたものである。

TOP


.社会サービス研究の課題と方法

(1)「社会サービス」という概念の重要性


 今日では、福祉サービスの利用を必要とする者は、低所得者にとどまらず、子どもから高齢者まで、障害者・慢性疾患患者を含む、生活上何らかの問題・障害を有し、自立生活のための支援を要する人びとである。すなわち、長寿化、社会・経済・文化構造の急激な変化などによって、実質的にはすべての人が、その生涯のいずれかの段階において日常生活にかかわる多様なサービスを利用することによって、生活を維持するとともに、生活の質を保持・向上する状況にある。

 したがって、今日では、社会福祉の目標は、憲法第13条に示されている幸福追求権の具現化を目的として、従来の低所得者に対する救貧的なサービスの提供に加え、広くすべての人が各ライフ・ステージ毎のニーズに応じて普遍的に利用できるサービスヘと転換している。

 それに伴い、国民の生活を包括的に保障することを目的として、社会福祉・社会保障の内容をより広げてとらえようとする考え方がひろがっている。所得保障としての年金・公的扶助、保健・医療(歯科医療を含む)・介護と連携した対人サービスとしての福祉サービスをより整備拡充するとともに、社会福祉を含めた社会保障制度の枠を拡大して、住宅保障、雇用保障、移動保障、教育保障などを含めて、「社会サービス」という概念によって生活全般を統合的に保障する方向にある。

 また、福祉サービスは、従来行政責任において直接サービスを提供してきたが、これからは行政責任を明らかにしつつも民間サービスをも活用しながら、すべての人が主体的な選択・自己決定のもと、普遍的にサービスを利用できることが求められている。その際、特にサービスの自主選択や自己決定のできない人への権利擁護のシステムの確立は必須である。

 このような考え方とそれに基く政策・実践は、イギリスやスウェーデンなど福祉先進諸国ではすでに一般的となっている。

(2)社会サービス研究の課題

 国内外において、社会サービスは政策課題としても実践課題としても重視されている。これに対応して、社会福祉学および関連諸科学は、社会サービス研究を推進する必要がある。社会サービス研究の課題は、以下のように整理される。

1)産業構造の転換や、景気変動に伴う失業・労働移動、貧富の格差の拡大や 長寿化・少子化などによる生活の不安定化に対応し、就労支援・所得保障・保育・介護・保健・医療・住宅保障などを総合化した社会サービスの供給体制の整備に関する研究を、国レベルおよび自治体レベルの政策研究として推進することが必要である。

2)そのことを前提にしつつも、児童虐待、子育て不安、精神障害者の社会復帰、痴呆性高齢者の介護及び地域自立支援などの問題を考えると、個別援助とそれを支える社会的なネットワークづくりを行なうソーシャルケアサービスが重要になる。社会福祉・保健・医療・介護・権利擁護などの対人援助に関わる実践の担い手である専門職の養成・資格・配置・組織・生涯研修などに関する総合的かつ国際的な比較研究を推進することが必要である。

3)とりわけ、社会生活上、様々な生活課題を抱えている個人や家族の地域自立生活支援を行なうためには、ゼネラルソーシャルワークに関する実践技法及びその実践を展開できるシステムについて早急に研究し、その成果を活用する条件を整備する必要がある。その際には、さまざまな生活問題が多くの場合、女性により多くしわ寄せされることを十分踏まえた援助のあり方が重視される必要がある。

(3)社会サービス研究の方法

 社会サービス研究の方法としては、学際的な方法を用いて、政策課題と実践課題を研究することが必要である。日本学術会議の「第17期活動の基本的方向」に基づいて、「俯瞰的な視点」から社会サービス研究の方法を検討した結果を以下に整理する。

1)社会サービス研究は、俯瞰型研究を要する分野のひとつである。俯瞰型研究とは、「多面的かつ同時併行的に評価する俯瞰的な視点」からの研究である。

 社会サービスは、社会福祉・保健・医療・介護・権利擁護・教育など多様なサービスを含んでいる。生活者の多面的なニーズに対応して、必要な諸サービスを総合的・計画的に提供することによって有効性を発揮する。総合的な社会サービス研究は、俯瞰型研究を要する分野のひとつであると言えよう。

2)社会サービスの発展に伴う「正の効果」の発揮に加え、俯瞰型研究の目的のひとつである「負の効果の発生、その可能性の早期発見、抑止・除去方法の開発」への対応が求められる。

 基本的な認識として、科学技術の発展により、人類の生活を向上させるという「正の効果」にとどまらず、分野によっては自然環境を破壊し、人類の生存を脅かし、人権を侵害するなどという「負の効果」が生じていることを忘れてならない。

 例えば、社会福祉における施設入所型のサービスの増大が、その当時においては、サービスの向上や、利用者の福祉を保障すると捉えられてきた。しかし、それが本当に利用者の生活の向上に貢献したのか、人里離れた地域に施設を作り、密室に隔離した結果、人権が損なわれるような事態を生み出していないかなど、社会福祉の基礎構造改革がめざす生活の質の保障、人間性の尊重という視点から改めて現在の社会福祉のあり方を点検・評価する必要がある。

 社会サービスにおける「負の効果」とも呼べる問題点を、以下に例示する。

@病院における医療サービスと地域における保健・福祉サービスの不均衡による「社会的入院」の増加
A施設福祉サービスと在宅福祉サービスとの不均衡のために、結果として地域で自立生活を継続することができず、ノーマライゼーションの理念の具現化が阻害されていること
B対人サービス機関の官僚制化・密室化による非効率・人権侵害
C専門職の倫理の欠如による過誤・人権侵害と利用者の不信感の増大
D社会階層間格差・地域間格差・世代間格差の拡大にともなう社会的連帯意識の減退

 俯瞰型研究により、社会サービスの発展に伴う「正の効果」を評価するとともに、「負の効果」の実態・発生過程・発生要因を解明し、その抑止・除去方法を開発する。

 さらに、積極的に生活を安定・向上させ、すべての人の生活の質を高めるための政策的・実践的な方策を開発することが求められる。

3)マクロ・メゾ・ミクロの3レベルの総合的な研究が必要である。

 社会サービスに関する研究は、国家の政策を中心とする「マクロ・レベルの研究」、地域社会・自治体・施設・企業・民間団体(NPO)などの活動を中心とする「メゾ・レベルの研究」、個人・家族・小集団(セルフヘルプグループやグループホームなど)の活動を中心とする「ミクロ・レベルの研究」という3つのレベルの研究を統合する必要がある。

 一例として、慢性疾患の患者や心身障害者に対する社会サービスをみると、国レベルでは「社会的入院」を無くして医療費の高騰を抑制する医療政策が推進されているものの、地域社会レベルではコミュニティ・ケア、在宅ケアの整備が遅れている。そのため、患者や障害者、家族の不安が深まり、個別に支援するためのケアマネジメントヘの期待が高まっている。

 このように複雑・多岐にわたる問題全体を分析するには、マクロ、メゾ、ミクロの各レベルの研究を統合的に進める必要がある。社会と人間に関する諸科学が、連携し相互協力することが必須である。

 マクロ、メゾ、ミクロの各レベルの研究課題と諸科学の主たる担当分野は、表1のように整理することができる。

TOP


.社会サービスの課題

(1)社会サービスに関する研究・教育の課題と政策・実践の課題

 社会サービスに関する研究・教育は、政策研究の課題であると同時に、ソーシャルケアサービスとりわけソーシャルワークの実践・研究及び専門職教育の課題でもある。急速な社会変動の中、あらゆる分野において高度・専門的な知識技術が求められ、専門的・技術的職業従事者の生涯研修が盛んになっている。

 したがって、社会サービスに関する研究・教育の役割は極めて大きい。特に政策の策定やマネジメントの担当者、および対人サービス専門職の生涯研修に、研究者・教育者が参加・協力することが重要である。

 社会サービス関係の大学・大学院が政策的・実践的課題に取り組む研究・教育活動を推進すること、リカレント教育・社会人教育を拡充して、政策担当者および専門職従事者が研究や自主研修の能力を高めることに寄与すること、さらに、研究者・教育者が専門職団体と協力して、全国レベルの生涯研修の体系を確立することが必要である。

(2)地域を基盤としたソーシャルワークを展開するためのシステムづくりと人材養成

 21世紀の社会福祉の中心的な課題は、施設の整備や、サービスメニューの拡大にとどまらない。多様化している社会サービスの活用について、援助を求める個人や家族のニーズに応じて適切にアセスメントし、ケアプランを作成し、実施するというケアマネジメントが重要になる。特に、子ども、女性、高齢者の虐待など、重大な生活問題を持つ個人や家族に対して、早期に問題を発見し、継続的・総合的に対人援助を行う専門的なソーシャルワークが重要となっている。

 社会サービスを積極的に活用し、地域における自立生活を継続的に支援するためには、従来の相談機関・施設などにおけるクリニカル・ソーシャルワークに加え、地域を基盤としたサービスの総合的な活用が重要である。すなわち、制度的・専門的なフォーマル・サービスと、近隣住民のボランティア活動などのインフォーマルなケアとを結びつける。そして、必要に応じて住民参加を促進・支援して新しいサービスを開発し、サービス利用者自身の生きる意欲を引出すなど住民のエンパワーメントを図る「コミュニティ・ソーシャルワーク」が求められている。

 このようなコミュニティ・ソーシャルワークのシステムをどう作り運営するかが、今後の自治体や社会福祉協議会の重要な課題である。この課題の達成のためには、システムを運営するコミュニティ・ソーシャルワーカーの養成と生涯研修の推進が必要である。

(3)社会サービスのハード面とソフト面の総合化 −自治体のソーシャル・アドミニストレーション・システムの確立

 社会サービスの内容には、保健・医療・福祉・介護・保育・教育・生活相談・権利擁護など多面的な対人サービス(ソフト面)とともに、所得保障・住宅保障などの物的・経済的な給付や対人サービスを提供するための諸条件の整備(ハード面)が含まれている。ソフト面とハード面とは厳密に区分することはできないものの、その大枠を表2に示す。

 従来は、個々のサービスを断片的に提供したため、「負の効果」が生じたり、有効に活用されないことが多かった。今後の課題は、マクロ・メゾ・ミクロの各レベルにおいて、経済的・物的サービスと対人サービスとの統合化を図ることである。多様なニーズに対応する諸サービスの総合的な活用を図るためには、ソーシャル・アドミニストレーション・システムとアドミニストレーション技法を開発し、活用することが必要である。

(4)保健・医療・福祉サービスの総合化−ケアマネジメントの確立

 第16期の「高齢化社会の多面的検討」特別委員会報告において、高齢者の生活の質と生きがいを高めるために医療サービスと福祉サービスの総合化が必要であることが明らかにされた。その後の介護保険実施過程や国・自治体の社会サービス関係の諸施策の動向などを検討すると、保健・医療・福祉・介護サービスの総合化の課題として以下の点が重要と考えられる。

1)保健所と福祉事務所を総合した保健福祉センターの整備。対人サービス専門職としての保健婦(士)・社会福祉士の配置。特に生活保護については、経済的な給付にとどまらず、自立支援や慢性疾患・障害に対応する専門的なケアサービスの保障が不可欠である。

2)市町村における保健・医療・福祉サービスの総合計画の策定・実施・事後評価。そのためには、市町村に計画策定・実施・評価を専門的に担当する社会サービス・マネージャーが必要である。また、住民参加、地域NPOと自治体とのパートナーシップによる住民自治の確立が不可欠である。これらを含めた地域ケアマネジメントシステムの確立が課題である。

(5)生活環境のバリアフリー化とコミュニティ形成

 社会サービスの基本的な課題は、すべての人の生涯にわたる生活の安定・向上である。したがって、地域社会に住み続けられるよう生活環境をバリアフリー化し、住民が協力し支援しあうコミュニティの形成が求められる。

 特に重要な課題としては、以下の点がある。

1)住宅・生活環境施設などハード面のバリアフリー化と住民の偏見や差別観などを除去するソフト面の心のバリアフリー化が課題である。
2)住民参加による保健・福祉活動とコミュニティ形成。なお、コミュニティ形成には、活動の拠点としてコミュニティ施設を整備・活用するなど、自治体と住民とが共同して取り組むことが必要である。

(6)保健・医療・福祉専門職の倫理と専門性の確立・向上

 第16期本委員会報告において、保健・医療・福祉サービスの統合化は、保健・医療・福祉専門職のチームワークとネットワークが必須であり、その促進のためには専門職間の格差・不均衡を解消することが必要であることを明らかにした。

 その後3年間の福祉の動向を見ると、社会福祉の専門職団体や研究・教育団体の努力にもかかわらず、児童養護施設・障害者施設・老人施設などにおいて利用者の人権侵害の事件が頻発している。また、地域社会や家族においても、子ども・女性や高齢者の虐待などが増加する傾向にある。

 国や自治体は、専門職団体や研究・教育団体の参加・協力を求めて、以下のような対策を推進する必要がある。

1)保健・福祉職をはじめ社会サービス関係専門職の養成・生涯研修体制の確立と研修内容の拡充。特に、専門職化が遅れているソーシャルワーカー(社会福祉士)とケアワーカー(介護福祉士)の養成・研修体制の整備が不可欠である。そのためにも、ソーシャルワーク教育の方法、教材開発、教育条件の整備をすすめるとともに、ソーシャルワーク教育や研修を担う人材の養成体制を拡充することが急務である。

2)保健・医療・福祉専門職の連携、チームワーク、ネットワークなどについての研修。特に、共通の課題として人権の尊重・擁護と専門職の倫理についての実践的な研修が重要な課題である。

3)社会福祉士の生涯にわたる研修体制においては、図1に示すような社会福祉士の専門分化と方法の総合化との両面に配慮して、研修条件と研修内容・方法を体系的に整備する必要がある。

TOP


おわりに

 本報告は、第17期日本学術会議社会福祉・社会保障研究連絡委員会の提言として、「社会サービスに関する研究・教育の推進」についての課題を整理したものである。

 本報告が、社会福祉関係諸学会、保健・医療関係諸学会をはじめ、広く関連諸分野の学会に所属する研究者はもとより、さらに社会サービス分野の政策立案の担当者や専門職従事者にも、参考にされ、活用されるよう念願するものである。

表1 マクロ・メゾ・ミクロ各レベルの研究課題と諸科学(例示)



表2 社会サービスの主要分野mpハード面(政策・制度・施設)とソフト面(対人サービス)



図1 ゼネラル・ソーシャルワーカーの生涯研修体系


TOP


Copyright 2002 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN