人道的対人地雷探知・除去技術の研究推進について

「工学共通基盤研究連絡委員会自動制御学専門委員会報告」

平成12年2月28日

日本学術会議
工学共通基盤研究連絡委員会
自動制御学専門委員会


 この報告は、第17期日本学術会議工学共通基盤研究連絡委員会 自動制御学専門委員会 人道的対人地雷探知・除去技術の研究推進検討小委員会の審議結果を工学共通基盤研究連絡委員会 自動制御学専門委員会において取りまとめ発表するものである。

[自動制御学専門委員会]
委員長 古田勝久(日本学術会議第5部会員、東京工業大学教授)
幹 事 荒木光彦(京都大学大学院教授)
幹 事 橋本 康(愛媛大学教授)
委 員 片山 轍(京都大学大学院教授)
委 員 佐野 昭(慶応義塾大学教授)
委 員 橋本伊織(京都大学大学院教授)
委 員 吉田和夫(慶応義塾大学教授)

[人道的対人地雷探知・除去技術の研究推進検討小委員会]
委員長 古田勝久(日本学術会議第5部会員、東京工業大学教授)
幹 事 野波健蔵(千葉大学教授)
幹 事 柴田崇徳(工業技術院機械技術研究所主任研究官)
委 員 浅間 一(理化学研究所副主任研究官)
委 員 石川正俊(東京大学大学院教授)
委 員 大築康生(川崎重工業(株)電子・制御技術開発センター部長)
委 員 木下源一郎(中央大学教授)
委 員 下井信浩(東京工業高等専門学校助教授)
委 員 谷江和雄(工業技術院機械技術研究所部長)
委 員 中野栄二(東北大学大学院教授)
委 員 広瀬茂男(東京工業大学教授)
委 員 福田敏男(名古屋大学教授)
委 員 古荘純次(大阪大学大学院教授)


要  旨

背景と提言

 わが国は、1997年12月のオタワ条約の署名式において、対人地雷の全廃に向けて貢献することを世界に宣言し、また、被埋設国の政府等が行う人道的な対人地雷除去活動に対して積極的に支援することを、官房長官談話として発表している。この人道的な対人地雷除去活動に対する支援は、被埋設国の復興に寄与し国際社会の平和と安定に貢献するため国際社会全体として取り組むべき課題である。このため、わが国は単なる財政援助にとどまらず、科学技術の積極的提供によって人道的対人地雷除去活動を支援する機器を研究開発し、真摯な国際協力体制を確立すべきであると考える。そのため、以下の提言を行う。

1.軍事目的の地雷探知・処理とは異なる「人道的対人地雷探知・除去」のための研究開発を、平和立国日本における産官学共同プロジェクトとして立ち上げ、国際社会の平和と安定に貢献する。

2.「人道的対人地雷探知・除去」のために、短期的および長期的な視点から研究開発を行う。短期的な研究開発では被埋設国の現状を考慮して早期に使用可能な機器の開発に取り組む。長期的な研究開発では、最先端技術を駆使して高度なロボット化・システム化技術の開発に取り組み、被埋設国の対人地雷を安全かつ効率よく完全除去する技術を確立する。

3.日本における「人道的対人地雷探知・除去」のための研究開発拠点として、「日本国人道的対人地雷探知・除去研究開発センター(仮称){JMAC,Japan Humanitarian Anti-personnel Mines Action Center}を創設する。

本センターにおいては、
(1)産官学の連携による「人道的対人地雷探知・除去」技術の研究開発
(2)わが国で開発される「人道的対人地雷探知・除去」機器の有効性の検証と性能評価
(3)被埋設国技術者のための「人道的対人地雷探知・除去」機器運用トレーニング
(4)地雷犠牲者救済を目的とした「犠牲者の社会復帰支援機器」の研究開発
(5)「人道的対人地雷探知・除去」機器のデータベース化と武器技術への転用防止を含む安全管理
(6)国際的な「人道的対人地雷探知・除去」技術の開発研究協力体制の確立
等の業務を行う。


要旨画面へ

目次

第1章 はじめに

第2章 対人地雷の戦略的使用と歴史的経緯
  2.1 なぜ対人地雷が使用されるに到ったか
  2.2 対人地雷の戦略的意義
  2.3 今日の対人地雷の種類
  2.4 「貧しい核兵器」としての対人地雷の恐怖

第3章 人道的対人地雷探知・除去と軍事的地雷探知・除去について

第4章 現在の対人地雷の埋設・散布状況と貯蔵状況
  4.1 世界の対人地雷の埋設・散布の現状
  4.2 世界の対人地雷の貯蔵の現状
  4.3 対人地雷の廃棄状況
  4.4 対人地雷の生産状況

第5章 対人地雷による被害状況
  5.1 アジア圏
  5.2 中東・ヨーロッパ圏
  5.3 アフリカ圏
  5.4 北米・中米・南米圏

第6章 対人地雷が地域社会に及ぼす深刻な影響
  6.1 経済復興・発展への障害
  6.2 政治・外交への障害
  6.3 教育・福祉への障害

第7章 人道的対人地雷廃棄への取り組みの経緯と現状
  7.1 対人地雷禁止への歩みとオタワ条約
  7.2 オタワ条約以降の取り組み
  7.3 モザンビーク会議以降の取り組み
  7.4 人道的地雷除去活動の原則
  7.5 地雷除去活動の国際的レベル・国家レベル・民間レベルでの取り組み
  7.6 我が国における様々な取り組み
  7.7 人道的地雷除去活動の全般的課題

第8章 人道的対人地雷探知・除去技術の現状と課題
  8.1 カンボジアにおける対人地雷除去技術の現状
  8.2 対人地雷探知技術の現状と課題
  8.3 対人地雷除去技術の現状と課題
  8.4 対人地雷除去技術支援の障害となる課題

第9章 人道的対人地雷探知・除去技術の確立に向けて
  9.1 対人地雷探知・除去技術の研究開発動向
  9.2 対人地雷探知・除去支援機材の研究開発
  9.3 対人地雷探知技術の研究開発
  9.4 対人地雷除去技術の研究開発
  9.5 対人地雷探知・除去を目指した多目的機器システムの研究開発
  9.6 日本ロボット学会と日本機械学会での取り組み

第10章 人道的対人地雷全廃への提言

参考文献


第1章 はじめに

 冷戦構造が過去のことになった今日も様々な局地的紛争、戦争が後を絶たない。そして、このような中で地球上には約6,500万個から7,500万個(1998年の米国国防省発表の報告書「Hidden Killers」による)もの地雷が埋設されたまま未処理の状態で放置され、多くの人命が失われたり負傷したりしている。このため、対人埋設地雷を撤去する作業が精力的に行われているが、高い除去率を達成するために人力による探知・除去に依存せざるを得ないのが現状であり、このような方法では地雷撤去に数百年を要するという報告もある。また、この対人地雷のために紛争後の復興が進まず地域経済の発展を阻害しており、その影響は甚大となっている。このような地域社会を恐怖に陥れている対人埋設地雷を探知・除去することは、人道上緊急の課題と位置づけられる。

 この緊急な問題に対して、1997年12月に「対人地雷禁止条約」いわゆるオタワ条約が批准され、地雷撲滅の機運が世界的に高揚するに至った。このような背景の中で我が国も世界に誇れる先端計測技術と先端的なロボット技術、メカトロニクス技術を駆使して安全で高い信頼性を有する地雷探知・除去システムを早急に開発し、地雷に苦しむ被埋設国への技術的支援を緊急に実施し国際貢献に寄与する必要がある。

 このため、先端的な計測技術、制御技術、そして、ロボット技術に造詣の深い研究者の英知を総結集して、この緊急課題に対応して人道的な地雷探知・除去技術の確立の方策を専門的に探るとともに地雷探知・除去技術に関する提言をまとめ、その成果を関係各方面に働きかけていくために、日本学術会議工学共通基盤研究連絡委員会自動制御学専門委員会に「人道的地雷探知・除去技術の研究推進検討小委員会」が1999年8月6日付けで設置された。そして、8月20日に第1回小委員会を開催して以降、これまでに計6回の討議を重ねた結果が本報告書の内容としてまとめられている。

 これまで、地雷探知・除去に関するレポートは我が国ではJCBL(地雷撲滅日本キャンペーン)や難民を助ける会、第3回NGO東京会議(1998年11月)、その他のNGO、また、国際的にはICBL,AARをはじめとして様々な国際的に活動しているNGOから冊子、単行本の形式で出されているが、それらの多くは本報告書のような地雷探知・除去方法の技術的な内容を含んでいない。その意味で、本報告書は地雷探知・除去技術の現状と問題点、さらに、研究開発動向をまとめている点で貴重であると思われる。ただ、この分野においては情報収集が困難な面が多々あるため、十分な資料となっていないことも事実であり、今後引き続き情報収集してより充実したレポートにしたいと考えている。

 本報告書は10章から成っている。第2章から第6章までは地雷の歴史的経緯、埋設・散布・保有状況、被害状況、深刻な影響を示している。とくに、第3章では人道的対人地雷探知・除去と軍事的地雷探知・除去の本質的相違点を明らかにしている。第7章は地雷廃棄への取り組みを述べ、第8章と第9章で地雷探知・除去技術の現状と研究開発動向を述べており、本小委員会の目的の1つである新技術の確立をめざした内容となっている。最後に第10章で、地雷全廃への提言を簡潔にまとめ、本報告書のもう1つの重要な骨子となっている。

 本報告書が人道的対人地雷全廃への一助となれば幸いである。

TOP


第2章 対人地雷の戦略的使用と歴史的経緯

2.1 なぜ対人地雷が使用されるに至ったか

 地雷は第1次世界大戦中対戦車用火器として開発され、第2次大戦以降陣地の防衛及び国境線の自衛のために多くが使用された。最大の特徴は安価であるために大量に使用することが可能であること、および、一度地中に埋設されると目視で発見することは不可能であり、その探知及び除去は非常に困難であることである。実戦面において、対戦車地雷や対人地雷を敷設しない場合は、陸上を移動してくる軍隊の移動を阻止するために防御において約1.3倍の兵力を必要とするとも言われている。このように安価でありながら、非常に効率的な武器であるために使用が絶えない。図1に2種類の対人地雷の形状写真を示す。

(1)72A対人地雷

(2)M18クレイモア(指向性散弾地雷)

2.2 対人地雷の戦略的意義

 1個当たりの対人地雷のコストは、最も安いもので図1の(1)に示すプラスチック地雷は約1ドル、高価なものでも50ドル程度と低価格である。しかも、機械による自動理設を行えば短時間で大量に地中に敷設することができ、さらに、空からの散布(散布地雷と呼ばれる)も可能である。このことからも効率的な武器であると言える。また、1個の地雷により、1人の兵士に障害を与えると他の兵士に恐怖心を与え、かつ障害を受けた兵士の搬送のために4名の兵士が担架を持たなくてはならないために前線の兵力を削減させるためには有効な手段であると考えられる。さらに、その治療や傷害に対する国家(軍)の補償は、長く継続するため、経済的な負担を与えることができる。そのため、高価で高性能な兵器を使うことが困難な発展途上国ほど対人地雷の必要性を有する傾向にあると思われる。

2.3 今日の対人地雷の種類

 地雷の材料であるが、木製、プラスチックなど金属をできるだけ少なくしている。この理由は、金属探知器による発見を困難にして埋設地雷の付加価値を高めることを目標としている。

 埋設方法等については、地中に敷設する方法、空中からの散布する方法、などがある。

 トリガー、いわゆる発火の条件は、人員等が信管の可動部に足を乗せ加重した時、または足を上げた時等に爆発する。または、図2に示す罠専用のワイヤまたは釣り糸等を発火用のトリガーピンと結び、脚に絡ませて地雷を爆発させる方法などが採用されている。

 威力と地雷の種別については、主に足の甲に穴を空ける程度または片膝までを吹き飛ばす程度の殺傷力が無い小型のプラスチック地雷や、または、地雷を踏んだ人間及びその周囲の人間の生命を奪う能力を有する跳躍方式の破片型地雷、さらに、図1の(2)に示す700個の鉄球を内蔵している協力な威力を有する対人地雷であるクレイモア等がある。

図2.2 対人地雷の信管に装着された罠線


2.4 「貧しい核兵器」としての対人地雷の恐怖

 地雷は、どこに埋設されているか分からないという「恐怖」は「核兵器にも匹敵するという意味と、一端埋設するとその効果は半永久的であり、これは放射能汚染にも似た効果であるという意味から高価で超ハイテク兵器「核兵器」と対照して「貧しい核兵器」と呼ばれている。

 戦争や紛争が終了後、埋設時の地図に基づいて対人地雷を撤去すべきであるが、そもそも埋設地図を作成しないことも多く、長い年月の紛争の後遺症として埋設地雷はそのまま放置された。その結果、地図の紛失、洪水によって地雷が土砂と共に流失したり、経年変化により地形が変化し、さらに草木などが成長することにより、地雷の位置が不明になる可能性が多々ある。また、経済復興のために農地開墾や、道路などの基盤整備を行おうとすると地中や木にひっかかった対人地雷に接触し、爆発を起こしてしまう危険性がある。そして、空中散布によって散布された対人地雷は、チョウチョのような色形しているものもあり、子供が拾おうとして爆発してしまう等の事故が多発している。対人地雷は、設置されてから長年たってもなおその機能を維持しており、対人地雷除去が達成されていない地域では、長期にわたって住民に恐怖を与えている。

TOP


第3章 人道的対人地雷探知・除去と軍事用地雷探知・除去について

 地雷探知・除去には人道的対人地雷探知・除去と軍事用地雷探知・除去の2種類がある。しかし、これまでこの2つの相違について明確な定義がなされておらず、漠然と違いが述べられてきている程度である。人道的対人地雷探知・除去の研究を推進にあたって、軍事用地雷探知・除去との本質的な違いを明確にすることは特に重要であり、この相違点が研究推進の根幹に関わることであるため、本章ではこの2種類の相違点を明らかにする。

 表3.1は人道的対人地雷探知・除去と軍事用地雷探知・除去の相違点をまとめたものである。

表3.1 人道的対人地雷探知・除去と軍事用地雷探知・除去の相違点


 表3.1に示すように、人道的対人地雷探知・除去と軍事用地雷探知・除去はその目的から考え方、方法論、探知・処理機の設計思想、構成に至るまで根本的に大きな違いがある。そして、軍事用対人地雷の除去は「作動可能な状況にある対人地雷の除去」を目的としたものであり、例えば敷設後長時間が経過し、雨水の影響で理設状況が変化して通常では作動が不能となった対人地雷(横倒しとなって地中に埋まっており、その上を歩行しても通常では爆発しない状況となった対人地雷)は大きな問題とならず、除去対象外と考えることができる。これに対し、人道的な地雷探知・除去では民間人が耕作等により、このような対人地雷を爆発させてしまう危険性があることから、これも除去の対象となる。

 要するに軍事用地雷探知・除去機は概めて重要な兵器として位置しているのに対して、人道的対人地雷探知・除去機は紛争後の対攻撃性を失し、一般市民に矛先が向いている埋設地雷の除去であること、平和復興と秩序回復、破壊された環境の再生を目的とする民生用の機材であると言える。人道的対人地雷探知・除去機が、万が一兵器に転用することを試みられたとしても、一般標準規格とミリタリ(軍事用)規格の違いがあるため、転用することは困難であると思われる。また、仮にある部品が兵器の部品として転用されたとしても、システム全般としては異なる規格であるために軍用品としての信頼性は低下し使用が困難となる可能性がある。さらに、軍事規格製品の開発には一般規格製品と比較して多大な経費を費やして開発されている。このように人道的対人地雷探知・除去機は、最初から軍事目的で設計された機器とは本質的に異なると言える。

 それにもかかわらず、人道的対人地雷探知・除去機が直接に対象とするものが、殺傷能力を有する埋設兵器の探査・除去であることから、当然ながら、決して平和目的以外の用途に使われることのないように万全の措置を講じる必要がある。また、7章の7.4節で述べている内容も100%否定できない訳で、否定できない以上、それ相当の対応措置を事前に検討しておく必要がある。このことは、人道的対人地雷探知・除去研究推進のもう一つの重要な研究課題である。その一案として例えばID番号による装置の管理を徹底し、使用期間を数ヶ月程度に限定し監査時に使用方法等が問題なければ新たにID番号を更新するシステムを構築する。万一、適正な使用がなされてないときは装置は機能しない安全機構を有するシステムを構成しておく、などのトータルな安全装置を研究開発する必要がある。

 この点で、人道的対人地雷探知・除去機に関する研究・技術開発については、1997年12月2日の村岡官房長官談話と「人道的な対人地雷除去活動に必要な対人地雷除去装置等については、一定の条件の下で武器輸出3原則等にはよらないこととする。」旨の閣議了承事項が重要と思われる(資料3-1)。

資料3-1
「人道的な対人地雷除去活動に係る支援と武器輸出三原則等に関する基本的考え方」について(村岡官房長官談話,平成9年12月2日)

 政府は、かねてから、対人地雷の規制の強化、埋設された対人地雷の除去及び犠牲者に対する支援に関し、国際的な努力を支持し、積極的な取組を行っており、本日の閣議で対人地雷全面禁止条約への署名を決定したところである。このような取組を更に強化するための措置の一環として、このたび対人地雷問題の解決に向けた国際的機運の一層の高まりを受け、埋設された対人地雷の除去に係る支援に関運して次の結論に達し、本日の閣議において了承を得た。

1.現在、世界各地において、紛争時に埋設されそのまま放置されている対人地雷など、武力攻撃の一環としての性格を持たない対人地雷により一般市民が無差別に殺傷され、多大な被害が生じるという事態が発生している。このような事態の発生を防止するために、前述のような対人地雷を人道的精神に基づいて除去する活動が行われているが、かかる人道的な対人地雷除去活動に対する支援は、国際社会全体として取り組むべき課題であり、我が国としても可能な限り協力を行うことが必要である。また、人道的な対人地雷除去活動は、被埋設国に寄与し、これに対する我が国の支援の強化は、国際社会の平和と安定に貢献するという我が国の基本的政策に合致するものである。このため、我が国としては、被埋設国の政府等が行う人道的な対人地雷除去活動に対し、積極的に支援を行うこととしたところである。

2.政府は、これまで、武器等の輸出については、武器輸出三原則等(※参照)によって慎重に対処してきたところであるが、1.に述べた諸点に鑑み、前述のような人道的な対人地雷除去活動に必要な貨物等に武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれる場合であっても、当該貨物等の輸出については、今後、被埋設国の政府等と我が国政府との間の国際約束で、当該武器等は人道的な対人地雷除去活動のみに使用されること及び当該武器等を我が国政府の事前同意なく第三者に移転しないことが定められることにより担保されることを条件として、武器輸出三原則等によらないこととする。これによって国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されることとなる。

3.なお、政府としては今後とも、武器輸出三原則等に関しては、国際紛争等を助長することを回避するというその基本理念を維持していく考えである。

※1.武器輸出三原則(1967.4.21)
 武器輪出三原則とは、次の三つの場合には武器輸出を認めないという政策をいう。
(1)共産圏諸国向けの場合
(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合
[佐藤総理(当時)が衆院決算委(1967.4.21)における答弁で表明]

 2.武器輸出に関する政府統一見解(1976.2.27)
 「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。
(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
(3)武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。
[三木総理(当時)が衆院予算委(1976.2.27)における答弁において「武器輸に関する政府統一見解」として表明)

 なお、わが国の武器輸出政策としては、通常、「武器輸出三原則」(上記1.)と「武器輸出に関する政府統一見解」(上記2.)を総称して「武器輸出三原則等」と呼ぶことが多い。

TOP


第4章 現在の対人地雷の埋設・散布状況と貯蔵状況

4.1 世界の対人地雷の埋設散布状況

 地雷処理活動の視点から、実際に埋設されている地雷の数を知ることは目標達成期間及びそれにかかる人員等を見積るための資料として重要であると思われる。

 現在、信頼できる情報として埋設地雷数の分析は、1998年アメリカの国防省から提出された報告書「Hidden Killers」による結果が用いられている。この見積方法は、深刻な地雷の被害を受けている12カ国の事例研究と最新情報により、12カ国それぞれの地雷数の高めと低めの見積数を補正して、アメリカ国防省及び国家から発表されている見積数の差をパーセントで表示してある。この計算式によると12カ国で最小約5,970万個、最大約で6,940万個と試算される。この計算例を世界における埋設地雷数として見積と約6,500万個から7,500万個程度であると予想される。

 一方、国連から発表された資料によると1996年時点で1億1千万個で、米国国防省の発表と異なっている。国連による地域別における埋設地雷の分布率を表4.1に示す。国連発表の世界の対人地雷埋設状況数を表4.2に示す。

4.2 世界の対人地雷貯蔵現状

 対人地雷を貯蔵している国は、世界中で108カ国である。その内訳を記入すると、概算で英国(85万個)廃棄中、フランス(65万個)廃棄中、スペイン(59.5万個)廃棄中、中国(1億1千万個)、ロシア(7,000万個)、ベラルーシ(数百万個)、アメリカ(1,100万個)、ウクライナ(1,000万個)廃棄中、イタリア(700万個)廃棄中、インド(500万個)スウエーデン(300万個)廃棄中、アルバニア(200万個)、韓国(200万個)、日本(100万個)廃棄中

4.3 対人地雷の廃棄状況

 オタワ条約の締約国は、自国が所有または管理している対人地雷をできるだけ速やかに、遅くとも4年以内に廃棄しそれを国連に報告しなければならない。

 条約締結国の中で対人地雷の貯蔵最が多い国は、ウクライナ、イタリア、スウエーデン、アルバニア、日本、英国、フランス、スペイン、ギリシャであるが、廃棄を実施している国は日本、イタリア、スウエーデン、英国、フランス、スペイン、ウクライナである。条約調印国において対人地雷の処理が進まない理由としては、低価格の処理技術が未確定であること、および、爆破等による処理費用の増大等が理由として考えられる。また、日本における対人地雷1個の処理価格は2000円程度と見積られている。

4.4 対人地雷の生産状況

 かつて対人地雷を生産し輸出していた国は34カ国あり、その内訳はアルゼンチン、オーストリア、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、チェコ、中国、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウエーデン、英国、ジンバブエ等の国々であると認識している。現在、イラクを除く33カ国の国々は、次に挙げるいずれかの理由により輸出を停止している。この内、地雷禁止条約に署名した国は、22ヶ国であり、自国で独自の禁止令を設置している国は1ヶ国、輸出一時停止の宣言をした国は4ヶ国、輸出しない国は6カ国である。最近の国連の報告によると、大量の対人地雷を輸出している国は現存しないとの情報がある。

表4.1 地域別対人地雷分布率(1996.4 国連報告資料)

表4.2 世界における対人地雷の埋設状況(1996.4 国連報告資料)

TOP


第5章 対人地雷による被害状況

5.1 アジア圏

 アフガニスタンでは、毎日10〜12人が死傷していると報告されているが、実際数はより多いと推定される。1994年以降地雷除去と教育により減少の傾向が報告されている。

 カンボジアの被害状況を表5.1、表5.2、図5.1に示す。このデータはフランスのNGOグループHandicap InternationalのCambodia Mine Incident Database Projectのデータである。表5.1と図5.1から1979年〜1999年の20年間で40176人が負傷し、そのうち13686人が死亡している。一番被害が多いのはBattambangで全被害の25%である。表5.2は表5.1を棒グラフで示し、かつ、地雷と不発弾による被害の割合を示している。表5.1からカンボジアではこの20年間に地雷等により毎月100人から200人が犠牲となっていることが分かる。さらに、図5.1から地雷被害者の34%は死亡し、53%が軍人でない一般の市民であることが分かる。また、被害者の年齢は33歳から55歳が41%と最も多く、ついで、22歳から32歳の青年で38%である。そして、男性が91%と圧倒的に被害率が高い。これは農作業等の一家の働き手として屋外に出て被害に遭うものと推察される。

5.2 中東・ヨーロッパ圏

 ボスニア・ヘルツェゴビナでは死傷者の80%が民間人で、そのうち15〜20%が子どもである。1996年の1月から1998年の3月までに1085人の死傷が報告されている。現状の被害程度として毎月30〜35人(国際赤十字)と90人程度(国連)との報告がある。被害率は低下の傾向にあるが、今後撤去作業者の減少により再度上昇の危険性が指摘されている。民間人の被害は大部分が農作業による。内戦後地雷の犠牲になった兵士の19%は除去作業中のものである。地雷の犠牲者のうち死亡した割合は15%で、これは他の国々に比べてかなり低いと考えられる。犠牲者の39%は1本以上の四肢手術を必要とする。

 クロアチアでは、1992年から1998年にかけて125人が死亡し、552人が負傷した。事故率は1994年〜1996年に低下したものの、1997年以降地雷除去者の減少により上昇の傾向が見られる。

 イラク(クルドスタン)では、1991年1月から1996年12月までに地雷関連で6715人が負傷しそのうち2391人の死亡が報告されているが、これは病院が作成したものであり、田舎では犠牲者が病院までいけない場合が多いことを考慮すると実際の一部を表わす数値と考えられる。犠牲者の30%が病院へ着く前に死亡するという報告もある。

表5.1 カンボジアの各県別の過去20年間の地雷・不発弾被害年別統計

表5.2 カンボジアの各県別の過去20年間の地雷・不発弾被害累計

図5.1 カンボジアにおける過去20年間の地雷被害の統計

5.3 アフリカ圏

 アンゴラでは1995年の国連報告によると、1.5%の国民が地雷等によって負傷した。犠牲者は7万人を超え、その多くは女性と子どもである。最近の国際赤十字と国連の報告によれば、毎月の犠牲者は少なくとも120人に昇る。

 エリトリアでは、現状の正確な数値はないが、1991年から1993年にかけて約2000件の地雷事故があった。

 モザンビークでは、毎月40〜50人が受傷していると推定される。被害者の数は1996年と1997年には減少傾向を見せているが、1992年の平和合意以降1万人近くが地雷の犠牲になっている。

 ナミビアでは、犠牲者は1991年の64人(内22人が死亡)から1997年のほぼ0まで改善されている。近年は不発弾を商売にする若い世代の犠牲が増えている。

 ソマリアでは、1992年には4500人の地雷被害者がいたと推定される。病院のデータでは、被害者は75%が5〜15才の子どもであり、医療施設の不足から適切な対応が取られていない。現在事故数は低下しているが、信頼される数字はない。

 スーダンでは、犠牲者の正確な数値は把握できない。政府は70万人以上が地雷による事故で手術を受けていると推定している。国連の調査では、被害者のうち医療施設に運ばれる犠牲者は少なく、運ばれても受傷から長い時間がかかっているため生存できる者はさらに少ないと報告している。

5.4 北米・中米・南米圏

 ニカラグアでは、1990年の内戦終了以来424人が被害を受け、内56人が死亡した。OASの数字によれば、脚を失った人数は1990年の25人から1996年の2人に減少したが1997年には19人に再び増加している。

TOP


第6章 対人地雷が地域社会に及ぼす深刻な影響

6.1 経済復興・発展への障害

 カンボジアを例にすると農業立国である同国は、1970年からの内戦に突入するまでは豊かな国土と温和な国民に支えられた東南アジアでも国民生活が最も安定した王国であった。しかし戦争が始まると、農民は兵士として招集され農業を支えることができず生産人口が極端に少なくなったことから、国民総生産所得も著しく減少した。その後、戦闘による数多くの砲弾及び地雷等の使用による国土の荒廃によって、戦争終了後の現在もこれらの不発弾及び対人地雷による農地の使用及び森林の開発等に制限が加えられ、早急な復興が望まれる経済活動に深刻な悪影響を与えている。この事実は,この約30年間の内戦により、国民の90%以上が農民であったにもかかわらず稲作の作り方も忘れてしまい、農地を荒廃させ子供たちに農業を指導することもできない環境から生活環境を更に悪化させる原因ともなっている。

 また、最近事実になったことであるが、「地雷を取り除かない限り安心して農業を営めない。」という同国民の悲惨な願いを聞き、多くの国々やNGOが援助の手を差し伸べて地雷の除去に貢献している。しかし、この援助による地雷の除去が完全に終了した貴重な土地を中国人や台湾人に売却している事実が判明した。この買収された土地には、中国人がカンボジア人の農夫を雇用してトウモロコシの生産を実施し、その収穫物は隣国のタイに売却されている。

 したがって、これらの問題はカンボジアに限らず、長期間の内戦が終了して、見せ掛けの平和が存在してもボスニア、モザンビーク等の地雷問題に苦しむ被埋設国においては国民が完全に自立するまでは国連等による長期の総合経済ケアと監視等が必要であると考えられる。

6.2 政治・外交への障害

 地雷当事国における対人地雷除去活動を公的機関として国連等に認められている組織にカンボジアのCMAC(CANBODIAN MINE ACTION CENTRE)が存在する。対人地雷が直接社会に及ぼした影響とは言い難いが、この組織の事件として1999.8に幹部3人が汚職疑惑で職を解かれる事件が発生した。この事実に伴い資金援助国のオーストラリア、アメリカが援助金を凍結した。この疑惑は同国の信頼性を著しく低下させると共に、援助国及びNGO等の政治及び外交に悪影響を与えた。

 なお、この件は概ね解決済みであり、かつCMACの機構改革努力も目下続けられており、UNDP及びドナー国は前向きな評価をしている。

6.3 教育・福祉への障害

 地雷除去活動は、緊急援助問題、個人の権利問題及びその国の長期的な発展の必要性等に対応しなければならない新しい分野である。

 この問題は我々先進国の人間が考えているように、「援助金さえあれば、地雷問題は解決する。」という単純な話では無いように思われる。

 その一例として、カンボジアにおける地雷が教育面に与える影響を考えると、地雷による犠牲者の中心は22歳から55歳前後の働き手である。この一家の大黒柱が地雷による負傷から職を失い収入を断たれると、当然子供たちへの教育等への資金もたたれ生活を維持するために子供たちは職に付かなければならない。これらの悪循環が同国の教育水準を低下させている要素となっている。

 また、ポルポトの支配時代に有識者をすべて虐殺する暴挙に出た歴史的事実は、この国の教育レベルの後退及び指導者の欠如等に大きく影響を与えた。これらの問題は決してお金では解決しない問題である。

 福祉面においては、地雷による被害者に義足を送るためのプロジェクトとが進行中であるが、被害者に義足が着いても元の健常者にはなれない。カンボジアにおける地雷の除去を現状の組織と技術力で実行した場合は、単純計算上は、完全な地雷除去には600年以上の期間を必要とする。つまり、地雷の事故をなくすための処理及び除去を急がなければ、この国の国民は、すべて義足のお世話にならなければならないような悲劇も生じる可能性が存在する。

TOP

第7章 人道的対人地雷破棄への取り組みの経緯と現状

 今日的な意味での地雷はアメリカの南北戦争(1861〜1865)において初めて用いられたとされている。その後、各地での内戦や戦争にこの地雷が大量に用いられ、大きな悲劇を生んでいる。と同時に、この地雷設置禁止への取り組みも今日大きな流れとなっている。本章ではこの人道的対人地雷破棄への取り組みについて、国際的、かつ日本の取り組みの経緯と現状についてまとめる。

7.1 対人地雷禁止への歩みとオタワ条約

 1991年11月国際的なNGOが地雷を禁止するキャンペーンを開始し、1993年3月にNGOの国際会議(ICBL)がロンドンで、翌年ジュネーブで開催された。さらに、1995年7月には国連の主催による地雷撤去の国際会議がジュネーブにて開催されている。

 また、1996年米国のクリントン大統領が1997年国連総会で地雷の全面禁止決議案提出の方針を発表、6月に橋本首相がリヨンサミットで、対人地雷の除去や被害者への支援について、その取り組みの強化を発表し、9月には国連総会にて同様の姿勢を発表している。そして、1997年3月6日〜7日に30数カ国が参加した対人地雷に関する東京会議(資料7-1)が開催されている。

 1996年10月3日〜5日カナダの首都オタワにて、日本を含む70カ国の政府代表、国際NGOが集まり、対人地雷の全廃に向けた会議を開催し、「オタワ宣言」を採択した。また、この日から、1997年12月3日、4日の対人地雷禁止条約調印に至る過程を「オタワプロセス」と呼んでいる。

 1996年10月以降、1996年12月国連総会で「対人地雷を使用、備蓄、生産、輸出入の全段階で禁止する国際条約」の締結を求める決議案が採択され、1997年1月にはオーストラリアが世界に先駆けて地雷全面禁止に踏み切り、その後各国において、全廃に向けての取り組みが行われた。

 6月24日〜27日、ベルギーのブラッセルにて「対人地雷の全面禁止に関するブラッセル国際会議」が開催された。そして、9月1日〜9月18日「オタワプロセス」の条約を話し合う「オスロ」会議が開催され、12月3日〜4日オタワ(資料7-2)にて「対人地雷禁止条約」(資料7-3)が調印された。

(資料7-1)対人地雷に関する東京会議(1997年3月7日)(概要と成果)
1.会議の概要
 橋本総理のリヨン・サミットにおけるイニシアティブを受け、3月6日(木)及び7日(金)の両日、27カ国(含、カンボディア、モザンビーク、アンゴラ、ボスニア、ニカラグア等地雷被理設国)、EU、及び10国際機関の高級事務レベルが参加して「対人地雷に関する東京会議」が開催され、(1)国連等による地雷除去活動 (2)地雷の探知及び除去技術の開発 (3)地雷の犠牲者に対する支援の3分野における国際協力の強化についての議論が行われた。

2.成果
(1)冷戦終焉後の地域紛争等において、対人地雷は安価(国連人道局によれば1個3−30ドル程度)に製造できるため紛争当事者たちに無差別に使用されることが多く、一般市民の間に悲惨な被害を及ぼしている。東京会議においては本件問題を同時に人道問題のみならず平和と安定の維持や復興開発への障害と位置付け、国際社会が一丸となって取り組む必要性が強調された。

(2)地雷による犠牲者を究極的にゼロにすることを目標として努力することとし、そのための方策として、国連人道局を中心とした国連その他の機関等の取り組み、地雷の探知除去技術の開発、移転及び犠牲者支援の3分野についてのガイドラインを作成した。

(イ)地雷除去にあたっては、被埋設国、支援国、国際機関及びNGOの間のパートナーシップの構築と調整の重要性が認識された。その際、地雷被埋設国が、主体性を持って主たる役割を果たすベきである旨指摘された。

(ロ)地雷の探知・除去活動が本格化してまだ日が浅いこともあり、手作業に近いリスクの高い仕事であることが認識され、より安価で安全で効率的な技術の必要性が強調された。短期的には、既存の技術の組み合わせ(tool-boxアプローチ)、中長期的には、現地の事情も十分踏まえた上での新技術の実験・開発の必要性につき意見の一致をみた。技術開発についての情報交換の方途も議論された。また安価で効率的な技術の普及により、地雷を埋設しようとする動機を抑止する効果があるとの見解も紹介された。

(ハ)犠牲者の支援については、応急手当から始まって義肢義足支援、カウンセリング、リハビリ、職業訓練といった活動に至る包括的アプローチを推進することとされた。また、犠牲者にかかるデータの整備や予防的措置としての啓発活動の重要性も強調された。

(資料7-2)対人地雷に関するオタワ会議(1997年12月)(概要と成果)
1.概要
(1)12月3日及び4日、オタワにおいて「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(以下「対人地雷禁止条約」)の署名式が行われ、4日17時の閉会式の時点で、我が国を含む計121の国が署名を行った。また、署名式と併行して12月2日から4日まで条約の普遍化、地雷除去及び被害者支援等の論点について検討する計20の円卓会議が開催された。

(2)開会式においては、アナン国連事務総長、クレティエンカナダ首相、ソマルガ赤十字国際委員会委員長、ジョディ・ウィリアムズ国際地雷廃絶キャンペーン(ICBL)・コーディネーター(97年ノーベル平和賞受賞者)が冒頭演説を行い、最初に、加、ノールウェー、南アが署名を行った。この他、米、中、露等、今回対人地雷全面禁止条約に署名しない旨明らかにしていた国もオブザーバー参加し、演説、円卓会議の場等において自国の立場を表明した。

(3)我が国からは、小渕外務大臣が出席し、対人地雷禁止条約に署名するとともに、我が国の対人地雷問題への積極的取組みを紹介し、各国への協力を呼びかける演説を行った。また、小渕大臣は、この機会に、アックスワージー加外相や、オーストラリア、南アフリカ、カンボディアの外務大臣と会談したほか、内外のNGO等との懇談を行った。

2.成果
(1)対人地雷問題の解決には、使用の禁止等の規制面と、地雷の除去及び被害者に対する人道支援の両面において対応の必要がある。特に、今回の署名式を含むオタワ会議では、条約署名後の国際社会の取り組みに関心が移りつつある中、対人地雷問題に包括的に取り組む我が国の姿勢をアピールできた。

(2)対人地雷の規制
 我が国は対人地雷の規制面において、これまでジュネーヴ軍縮会議、及び1996年10月のオタワ宣言により開始されたいわゆる「オタワ・プロセス」の双方の場に参加し、対人地雷を禁止するための条約の早期作成に努力してきている他、1997年6月には特定通常兵器使用禁止制限条約の地雷等に関する議定書を率先して締結するなど、積極的に取り組んできた。

 「オタワ・プロセス」によって作成された対人地雷禁止条約への我が国の署名は、人道的な配慮とともに安全保障の確保の観点も考慮しつつ検討した結果、大局的見地から決定したものである。この条約に原署名国として小渕外務大臣自らが署名したことは、対人地雷廃絶に積極的に取り組む我が国の姿勢を内外に示しえた点で大きな意義を有するものである。

(3)地雷除去及び犠牲者支援
 今回の署名の機会をとらえて1997年3月の東京会議の成果を踏まえた対人地雷除去及び被害者支援への積極的取り組み、特に今後5年間を目途とする100億円規模の支援を公表したことは、署名と相まって我が国の対人地雷問題に対する前向きな姿勢をアピールする上で有意義であった。また、アックスワージー加外相主催で行われた円卓会議では、各国から東京会議について言及される等、我が国が地雷除去及び犠牲者支援の分野でイニシアチブをとっていることについて共通の認識が得られていることが確認された。

(4)今後の取組み
 今後は、今回の署名を契機に高まった我が国に対する評価と期待に応えるべく、この条約の詳細の検討と併せて我が国の安全保障の確保や国内法制の整備等につき検討した上でできるだけ早期にこの条約を締結すべく準備を進め、(イ)普遍的かつ実効的な対人地雷禁止の実現のための努力、具体的にはこの条約に可能な限り多くの国が署名するよう幅広く呼びかけるとともにジュネーヴ軍縮会議での早期交渉開始のための努力を継続し、さらに(口)地雷除去及び被害者支援のための具体策を検討して積極的に推進すること等を通じて、小渕大臣が表明した「犠牲者ゼロ・プログラム」に包括的に取り組んでいくことが重要と考えられる。

(参考)
1.対人地雷禁止条約の経緯
 対人地雷禁止条約は、1996年10月カナダ政府がオタワにおいて開催した対人地雷に関する国際会議を契機として開始されたいわゆるオタワ・プロセスを通じて作成された。1997年2月のウイーン会議、6月のブラッセル会議等一連の国際的な会合を経て、1997年9月ノルウェーのオスロで89ヶ国の正式参加を得て開催された外交会議において条約案が採択された(アックスワージー加外相は、98年中の発効を目指すと言明している。)。注:( )内年号は著者が追加

2.対人地雷禁止条約の署名に際しての小渕外務大臣演説(概要)

(1)21世紀に私たちの子孫が地雷の脅威に晒されない世界に住めるよう、普遍的かつ実効的な条約の作成と地雷除去活動・犠牲者支援を車の両輪とする、包括的アプローチによる取り組みの必要性を訴えた。

(2)オタワ条約へのできるだけ多くの国の署名への期待を表明すると同時に、ジュネーヴ軍縮会議における対人地雷禁止に係る条約交渉を早期に開始すべき旨訴えた。

(3)対人地雷同様の取り組みが求められる小火器問題に引き続き積極的に取り組んでいく旨述べた。

(4)今後5年間を目途とした100億円規模の支援により、地雷除去関連機材・技術の供与、被害者支援、カンボディアの地雷被埋設国間会議への積極的支援等を実施することを表明した。また、対人地雷除去活動の支援のために行う貨物等の輸出についてはこれを武器輸出3原則によらないこととした。

(5)以上のような我が国の対人地雷問題への取り組みを「犠牲者ゼロ・プログラム」とし、各国に協力を呼びかけた。

(資料7-3)対人地雷禁止条約の概要
一般的義務(第1条)
 締約国は、「いかなる場合にも」対人地雷を使用、開発、生産、取得、保持、譲渡せず、またいずれかの者がそのようなことをするのも助けない(1項)。また、締約国は、この条約の諸規定に従って、すべての対人地雷を廃棄し又は廃棄を確保する(2項)。

定義(第2条)
 「対人地雷」とは、人間が踏むことなど(存在、接近、接触など)で作動しその被害者となる、すべての地雷を言う。車両の存在、接近、接触で爆発する、処理防止装置のついた対車両地雷(anti-vehicle mines equipped with anti-handling devices)は、その装置がついていることで、対人地雷とは考えられない。これは、1980年の通常兵器に関する条約に加えられた修正の第2議定書の定義より、一段と厳しく一段と明確な定義である。

例外(第3条)
 締約国は、「若干数の」対人地雷を、地雷探知および地雷除去の技術開発及び訓練のためにのみ、保持し、あるいは譲渡することが許される。

貯蔵地雷の破壊(第4条)
 各締約国は、第3条の規定による以外のすべての貯蔵対人地雷を、条約当事国となってから遅くとも4年以内に、廃棄しなければならない。

敷設地雷の破壊(第5条)
 各締約国は、すべての敷設地雷を、条約当事国となってから10年以内に、除去しなければならない。影響が深刻で、もっと時間や資源を必要とする国は、締約国会議に一時に10年を限度として期間延長を要請できる。この条項は、そうした国が国際的支援や援助を要請できる場を提供するものである。

国際協力と援助(第6条)
 この条項は、地雷除去や犠牲者支援等に対する国際協力と援助を扱っている。締約国は地雷除去に関する情報を国連等に提供することを約束する。地雷の被害者のみについての援助を規定している条項においては、国連及びNGO(非政府組織)のみならず、国際赤十字委員会、国内赤十字社、赤新月社及びそれらの国際組織(フェダレーション)を通じての援助に特に言及している。

透明性及び履行確保の措置(第7条、第8条)
 締約国は、条約履行のために採った措置を毎年、国連に対し報告しなければならない。条約の条項に違反している疑いがあるときは、締約国会議は事実調査団の派遣を決定できる。

国内の実施措置(第9条)
 各国は、その管轄権又は支配下にある、若しくは管轄又は管理の下にある領域における、人間による違反を、立法上、行政上その他あらゆる適当な措置により、確実に防止・抑止しなければならない。

紛争の解決(第10条)
 条約の適用、解釈に関する紛争は協議と協力により、また締約国会議で、解決する。

締約国会議(第11条)
 条約が発効してから第1回の検討会議までは、毎年1回、締約国会議を開催する。

検討会議(第12条)
 条約が発効してから5年経った時に第1回検討会議を開く。それ以後も再検討会議は、直近の再検討会議から5年以上経ったら、1又は2以上の締約国の要請により開かれるものとする。

条約の改正(第13条)
 条約の改正は特別の条約改正会議で締約国の3分の2の出席と投票により行われる。

条約の発効(第17条)
 条約は40カ国が批准書、受諾書、承認書、又は加入書を寄託したあと6カ月後に発効する。条約は国連の公用語に訳され事務総長に寄託され、署名のため1997年12月3日から4日まではオタワで、それ以後はニューヨークで、開放される。

7.2 オタワ条約署名開放以降の取り組み

 「対人地雷に関する東京会議」において、地雷の犠牲者を大幅に減らし、最終的にはゼロにすることを目指した国際的な取り組みのための各種のガイドラインが発表された(資料7-4)。

(資料7-4)対人地雷の人道分野における国際協力のための東京ガイドライン(1997)
1.問題認識及び目標
(1)対人地雷問題は、人道問題のみならず、平和と安定の維持や復興開発への障害であり、国際的取り組みの強化が必要である。

(2)そのため、1997年3月に開催された「対人地雷に関する東京会議」では、人道分野での国際的取り組みに関する初めての包括的な議論の成果として、以下の指針が示された。

(3)このガイドラインは、地雷の犠牲者を大幅に減らし、最終的にはゼロにすることを目指す。

2.ガイドライン概要
(1)地雷除去活動における取り組み
(イ)オーナーシップとパートナーシップ
・被埋設国の主体性(オーナーシップ)を重視する。
・支援国、国際機関及びNGOがパートナーシップの精神の下で支援する。

(ロ)国連を軸にした調整・地雷除去活動への支援の調整のための国連の役割を強化する。

(ハ)復興プロセスヘの考慮
・復興プロセスヘの円滑な移行(continuum)を念頭に置く。

(2)地雷の探知及び除去技術の開発
(イ)技術開発
・より安価で安全かつ効率的な技術の開発を図る。短期的には既存の技術の効果的な組み合わせ(tool-box approach)、中長期的には新技術の開発との二重アプローチ(double-track approach)が重要である。

(ロ)国連技術登録制度
・技術開発に関する情報の共有のため、国連における情報登録を進める。

(3)犠牲者に対する支援
(イ)包括的アプローチ
・応急手当から義手義足支援、カウンセリング、リハビリテーション、職業訓練等といった活動に至る包括的アプローチを推進する。

(ロ)地雷情報システム(Mine Informations System)
・除去サイドと犠牲者支援サイドとの間の連携と情報交換を強化する。

7.3 モザンビーク会議以降の取り組み支援

 オタワにおける「対人地雷禁止条約」の署名の際、小渕総理は東京ガイドラインを自ら実践するため、地雷除去・犠牲者支援の分野において、今後5年間を目処に100億円規模の援助を行うと表明した(資料7-5)。

 対人地雷禁止条約後、モザンビークにて、対人地雷禁止条約締約国会議が開催された。わが国は対人地雷禁止条約に基づき国内実施措置として、「対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律」を制定(資料7-6)し、すべての対人地雷を2003年2月28日までに廃棄する予定であることを国連事務総長へ報告した。また、国際機関の実施する各種地雷関連プロジェクトに対する支援を決定した(資料7-6)。

 さらに、中米諸国において対人地雷の除去活動を実施している米州機構(OAS)に対し、対人地露除去支援として4万5,000米ドルの資金を拠出することを決定(資料7-7)した。

(資料7-5)国際機関の実施する各種地雷関連プロジェクトに対する支援の決定について(対人地雷禁止条約第1回締約国会議) 1999年5月3日
1.我が国政府は、国際機関の実施する各種地雷関連プロジェクトに対し、国連の地雷対策支援信託基金を通じて、総額210万ドルの資金協力を行うことを決定し、5月3日、モザンビークのマプトにて開催される「対人地雷禁止条約締約国会議」における武見外務政務次官による政府代表スピーチにおいて表明した。

(1)地雷除去
(イ)タイUNDP地雷除去プロジェクト40万ドル
(ロ)チャドUNDP地雷除去プロジェクト40万ドル
 両プロジェクトでは、主に、地雷対策センターの構築等国内体制の整備を初め、サーベイ、地雷データベースの構築等を目的としている。
(ハ)ニカラグアUNDP地雷除去プロジェクト25万ドル
 本プロジェクトは、昨年10月末から11月にかけて中米諸国に被害をもたらしたハリケーン・ミッチによって流出した埋設地雷を除去することを目的としている。

(2)犠牲者支援・地雷教育
(イ)カンボジアUNICEF犠牲者支援プロジェクト60万ドル
(ロ)グアテマラUNICEF地雷犠牲者支援プロジェクト20万ドル
(ハ)ラオスUNICEF不発弾教育プロジェクト20万ドル
(ニ)ニカラグアUNICEF地雷教育プロジェクト5万ドル

 上記プロジェクトは、各被埋設国における地雷による犠牲者に対するリハビリ、職業訓練、社会復帰を支援し、あるいは、地雷回避のための教育プログラムを支援することを目的とする。

2.わが国は、97年12月のオタワ条約署名式において、地雷除去および犠牲者支援に関するわが国の取組として「犠牲者ゼロ・プログラム」を提唱、98年より5年間を目途に100億円程度の支援を行うこととしており、オーナーシップに基づき、主体的に地雷対策活動に取り組む地雷被埋設国において実施される各種地雷対策活動を支援している。わが国としては、上記の国際機関により実施される各種地雷対策プロジェクトに対する資金協力を通じ、各地雷被埋設国における地雷対策に貢献することを期待している。

(資料7-6)対人地雷禁止条約に基づく透明性についての措置に関する国連事務総長への報告について対人地雷禁止条約に基づく透明性についての措置に関する国連事務総長への報告について(1999年8月27日)
1.わが国政府は、対人地雷禁止条約に基づく透明性についての措置に関する報告書を8月27日(金)、国連事務局に提出した。

2.報告の主な内容は以下のとおりである。
(1)わが国は本条約の国内実施措置として、「対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律」を制定した。
(2)わが国において貯蔵されている対人地雷の総数は100万89個である。
(3)わが国は、本条約で認められた若干の例外保有を除き、すべての対人地雷を2003年2月28日までに廃棄する予定である。

3.対人地雷の使用、貯蔵、生産、保有、移譲等の禁止および廃棄の義務等について規定する対人地雷禁止条約は、本年3月1日にわが国について発効したところ、同条約第7条は、締約国が国連事務総長に対し、この条約が自国について効力を生じた後180日以内(わが国については、本年8月28日まで)に(1)対人地雷禁止に係る国内の実施措置、(2)自国が貯蔵する対人地雷の総数や技術上の特徴、(3)廃棄計画の状況等について報告することを定めている。

4.わが国を含む各締約国から提出される報告は、国連事務局が取りまとめの上、その結果をインターネット上に掲載する予定である。

(資料7-7)中米での米州機構の対人地雷除去活動に対する資金拠出について(1999年8月30日)
1.わが国政府は8月30日(月)、中米諸国において対人地雷の除去活動を実施している米州機構(OAS)に対し、対人地雷除去支援として4万5,000米ドルの資金を拠出することを決定した。この決定を東京(外務省)にて開催中の第4回日本・中米「対話と協力」フォーラムにおいて、中米各国代表に対し伝達した。

2.中米における対人地雷は、主に内戦時に埋設され、現在でも依然としてこれら諸国の復興の障害となっている。本年度の拠出は、昨年11月のハリケーン・ミッチの被害により流出した地雷が地域住民の一般生活を脅かしているとともに、橋梁の再建等のハリケーン災害復興の障害ともなっている状況に鑑み、OASが中米地域で行う地雷除去活動に対して資金援助を与えるものである。

3.わが国は、従来より人道的な対人地雷の除去および犠牲者支援の分野における国際的取り組みを積極的に推進してきており、本年年5月にマプート(モザンビーク)で開催された「対人地雷禁止条約第1回締約国会議」の際にも、「人間の安全保障」の観点からもこの分野において積極的に貢献してきたい旨意図表明を行ったところである。今回のOASへの拠出も、わが国の対人地雷の除去および犠牲者支援に対する貢献の一環として行われるものである。

4.OASは、1992年の総会において、中米地域における対人地雷も含めた地雷の除去活動への拠出金を受け入れるための特別基金設置を決定し、OAS事務局に「中米地域地雷除去作業特別基金」を設置した。わが国は、これまで同基金に対し、1992年および1996年にそれぞれ10万米ドルずつ、’1997年に5万米ドル、また、1998年に4万5,000米ドルを拠出しており、今回の拠出は、同基金への5回目の拠出となり、わが国の同基金への資金拠出総額は、合計で34万米ドルとなる。

5.なお、日本・中米「対話と協力」フォーラムはわが国と中米各国との間の次官級年次協議で、本年の第4回フォーラムは8月30日、31日の両日、東京(外務省)において開催されている。同フォーラムには、わが国から堀村外務省中南米局長ほかが、また、グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、コスタリカ、ホンジュラスの中米各国および中米との関係強化に関心を有するドミニカ共和国からそれぞれ外務次官が出席している。2日間のフォーラムでは、わが国と中米との政治・経済関係、中米統合プロセス、わが国の中米地域への協力およびわが国と中米各国との国際機関における協力等、幅広い分野についての意見交換が行われる。

7.4 人道的地雷除去活動の原則

 人道的地雷除去活動の原則は当該国の主権を尊重して、早期に、安全にそして確実に地雷除去を行い、従前の姿に戻す援助活動である。同時に、犠牲者に対する支援、社会復帰のための施策も重要な課題となる。

 地雷除去技術は人道的に使われても軍事技術としての性格を有する。たとえば、戦争当事国が除去技術によって敵の地雷を撤去し、その除去技術を回避できるように自分の地雷敷設に使えば、地雷除去機器は戦略兵器となる。したがって、除去技術の輪出は武器輸出3原則に抵触し、また、研究を実施する場合も軍事技術と位置付けられるので、慎重な対応が必要である。

 しかし、1997年12月のオタワにおける「対人地雷禁止条約」署名に先立つ1997年12月2日に、村岡官房長官より「人道的対人地雷除去活動への支援に関しては、武器輸出3原則によらないこととする。」ことが発表された。しかしながら、「人道」、「戦略」の区別は微妙なため、技術開発やその成果を特に海外に公表する場合は常に細心の配慮が必要である。

7.5 地雷除去活動の国際的レベル・国家レベル・民間レベルでの取り組み

 対人地雷除去活動の取り組みについて、我が国で提唱された国際協力のためのガイドライン(資料7-4)、また資金支援等(資料7-5、7-7)がある。

 地雷除去及び犠牲者支援に関する活動は国連を中心とした各国政府、関係国際機関の活動があり、また、世界各国の1,000以上の非政府組織(NGO)が取り組んでいる。NGOの指導者であるジョデイ・ウイリアムズ女史に1997年度のノーベル平和賞が与えられている。 人道的地雷除去をロボット技術の応用によって達成する研究活動も積極的に進められており、下記のような活動が推進されている。

1)IARP Working Committee on Robotics for Humanitarian Deminingの活動
 IARPはInternational Advanced Robotics Programの略で、1980年のベルサイユサミットで合意された先端16技術分野での国際協力プログラムに始まる。ロボット分野の国際協力プログラム、現在、日、米、仏、独、伊、カナダ、英国、中国、ロシア、EU、オーストリー、ブラジルなどが参加して、ワークショップ等を開催し、国際研究協力等について議論している。このプログラムで昨年、フランスのツールーズで、第1回Humanitarian Demining Workshopを開催した。その後、この問題を国際協力の需要課題と位置付け、カールスルーエ研究所のTom MartinをChairとする標記Working Committeeを設置し、活動を開始している。日本もCommitteeのメンバーとして活動に参加している。

2)米国の取り組み
 DDA、DARPAのプログラムでセンシング技術等を研究、JPLでRobotic Demining Projectを推進、James Madison UniversityのDemining Center、で関連情報収集、撤去支援を行っている。撤去技術を開始している機関、DARPA,JPLである。

3)欧州の取り組み
 EUプロジェクトの成果を実験する場、Joint Research Center, Civilian Demining R&DをEU主導で、イタリアのIspraに設置、積極的に開発を推進している。しかし、欧州内の取り組みは、短期開発型の撤去機器が多い。

(−人道的地雷除去ロボテイクス研究専門委員会−第1回委員会資料−)

(資料7-8)地雷除去に関する活動を行っている主要な国際機関等
○国連
○国連(PKO局) 国連地雷対策サービス(United Nations Mine Action Service)
○国連開発計画(United Nations Development Program) 開発に関係する地雷除去活動に携わる
○国連児童基金(United Nations Children's Fund) 啓発及び犠牲者に対するリハビリテーション等の活動に携わる
○国連難民高等弁務官事務所 (Office of the United Nations High Commissioner for Refugees) 難民支援に付随する地雷除去の関連活動に携わる
○世界食料計画(World Food Program) 食料供給に関係する地雷除去の関連活動に携わる
○国連アフガニスタン人道調整官事務所(United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Assistance) アフガニスタンの難民帰還支援に付随する地雷除去活動に携わる地域機構
○米州機構(Organization of American States) 中米における地雷除去活動に携わる

7.6 我が国における様々な取り組み

 我が国の対人地雷禁止に対応するために、政府の対応が発表されている(資料7-5、7-6、7-7、7-9)。

(資料7-9)対人地雷禁止について(1997年11月)
1.対人地雷問題の現状
 紛争地域を中心として無差別に設置された対人地雷は、68か国に1億1千万個以上で、人道上極めて重要な問題であるのみならず、紛争終結後の復興と開発にとっても大きな障害。

2.これまでの我が国の対人地雷規制強化への取組

(1)1996年6月のリヨン・サミットにおいて、橋本総理より、対人地雷の全面禁止に向けた国際的努力への支持及び使用等について一連の自主的措置を発表。
(2)1996年12月に国連総会で採択された対人地雷全面禁止決議(全面禁止条約の早期成立のための努力を謳う。)の共同提案国となった。
(3)1997年6月に、特定通常兵器条約(CCW)の改正された地雷等に関する議定書(資料7.3の第2条参照)を率先して締結(5か国目)。
(4)1996年10月に加主催で開催された対人地雷全面禁止国際会議以降、一連のオタワ・プロセスの会議に参加。

3.オタワ・プロセス

(1)1996年10月の加主催の会議(於オタワ)により始まった対人地雷禁止条約の本年末までの署名を目指す一連のプロセス。
(2)1997年9月1日〜18日までオスロで条約交渉会議が開催された結果、対人地雷全面禁止条約(対人地雷の使用、生産、取得、貯蔵、移譲等の禁止。貯蔵地雷及び埋設地雷の廃棄義務等。)が採択された。
(3)我が国は、我が国の安全保障を確保しつつ、普遍的且つ実効的な条約の作成を目指すことを基本方針として、交渉に努めた。
(4)12月3日〜4日に、条約署名式が予定されている(於オタワ)。
(5)12月2日〜4日に、対人地雷に関する円卓会議が予定されている(於オタワ、上記署名式と並行して行われる)。

4.ジュネーヴ軍縮会議(CD)における協議

 我が国としては、真に普遍的的で実効的な条約作成の観点等から、上記の対人地雷禁止条約に参加する見込みのない国(中国等)が参加しているCDにおける条約交渉の早期開始に向けて、努力してきているが、交渉開始には至っていない。

7.7 人道的地雷除去活動の全般的課題

 人道的地雷除去活動に関して、その政治的な解決とともに、埋設された地雷を如何に安全に、かつ効率的に除去するかという除去技術の基本問題が存在する。現在、埋設地雷は1億1千万個(4章の表4.2参照、国連統計の場合)に上るとされており、毎日70人もの人が死傷しているが、その除去は遅々として進まない。

 そこで、埋設地雷をロボット技術などの先端科学技術を駆使して早期除去が期待されるが、課題も多くあり、その問題点を下記にまとめる。

(1)地雷構造の非公開性
 地雷は兵器という性質上、最新地雷ほど構造が公開されない。除去対象をブラックボックスとして問題に対処せざるを得ない。

(2)開発技術の機密保持
 探知・除去技術が開発された場合、その内容を公開するとその情報をもとに、その探知・除去技術を上回る新地雷が開発される可能性がある。現時点で「オタワ条約」に加盟せず、地雷の製造や埋設を続けている国(たとえば、ソマリア、アンゴラ、コソボなど)が存在するため、この問題は深刻である。研究開発を推進する場合、成果の公開をどのように行うのかを慎重に考える必要がある。

(3)技術開発の緊急性と高度技術開発の対応
 現時点で膨大な対人地雷が存在し、また、それによって死傷している人が多数いる現状において、技術開発に時間をかけている余裕はない。対人地雷会議では、現状のあり合わせの技術を組み合わせて今より少しでも効率的な探知・除去を可能にする短期決戦型の研究開発と、新技術の開発を含む、より高度な探知・除去技術の確立を求めた中期的な研究開発の両面からの研究開発が必要なことが指摘されている。ニーズの緊急性と研究開発課題の設定をいかに整合させるかが問題となる。
 (−人道的地雷除去ロボテイクス研究専門委員会−第1回委員会資料−)


(資料7-10)地雷による一般人の被害状況
1.国連の地雷除去データ・ベースに基づけば、対人地雷による死傷者は毎月2000人以上、世界に25万の負傷者がいると推定されている。また、地雷除去作業に従事する国連職員等の間における事故も増加している。国連データ・ベースによれば、1000から2000個の地雷を除去する毎に1名の犠牲者が出ている。96年までにPKO活動における被害のみで、203名の負傷及び60名の死亡が発生している。

2.赤十字国際委員会のデータ・べースによれば、治療を受けるために要する時間は、24.6%が6時間以内に医療手当を受けられるが、69.4%は24時間以内、84%が72時間以内、残りの16%は3日以上かかっている。他の原因による負傷に比べ2から6倍の血液を要し治療後も義肢義足を必要とするため、開発途上国の場合一人当たり3000米ドルの費用が必要と言われる。

主要な地雷埋設国における被害率(赤十字国際委員会96年のデータによる)

国名     被害率
カンボディア 1/236人
アンゴラ   1/470人
ソマリア   1/650人
ウガンダ   1/1100人
ヴィエトナム 1/1250人
モザンビーク 1/1862人

地雷による被害者分類(赤十字国際委員会96年のデータによる)

年齢・性別等          比率
15以上50才以下の潜在的「兵士」 68.7%
15才未満の児童         19.8%
女性              7.3%
50才を超える男性        4.2%

TOP


第8章 人道的対人地雷探知・除去技術の現状と課題

8.1 カンボジアにおける対人地雷除去技術の現状

 図8.1にカンボジアの地雷埋設分布図を示す。また、表8.1に地雷原ごとの地雷除去集計表を示す。図8.2、図8.3は不発弾の撤去作業とCMACの1997年のトレーニングセンターのオープニング風景写真である。ここで、CMAC発表のデータからカンボジアの対人地雷除去データの一部を紹介する。

 1998年1月〜3月の3ヶ月間の地雷除去データ(CMAC発表、Current Activities 1998より)

 地雷除去に従事し人     1,827名
 地雷除去に従事した日数   63.5日
 総除去人数×日数      116,014人・日
 完全に地雷・不発弾等が除去された面積 1,407,966SQM
 探知除去した対人地雷の数  1,941個
 探知除去した対戦車地雷の数 71個
 探知除去した大砲等の不発弾の数 1,525個
 探知除去した金属破片の数  3,185,913個

 カンボジアにおける地雷探知方法は後述するような携帯型金属探知器による方法か、図8.4に示す探針による古代遺跡の発掘調査に似たマンパワーの方法が行われているが、上記のデータから現在の除去数の現状が詳細に理解できる。すなわち、約2千名の人が地雷探知除去作業に3ヶ月従事して除去した地雷数は約2千個である。1人の専門家が3ヶ月かかって1個の地雷を探知した計算になる。1年では8千個、仮にこの数を1万個とするとカンボジアには少なくとも600万個から1千万個の地雷が埋設されているとも言われているから、カンボジアの地雷を完全撤去するのに単純計算で600年から1000年の月日を要することになる。途方もない話である。また、探知にかかった金属破片の数が膨大で、地雷2,012個(ただし、対戦車地雷も含む)に対して3,185,913個で、比をとると1:1,583となる。つまりはほとんどが地雷とは関係ない金属破片ということになり、地雷探知の難しさを示しているデータといえる。


図8.1 カンボジアの地雷埋設分布地図

表8.1 カンボジア各地雷原における地雷処理状況


図8.2 不発弾の撤去作業


図8.3 CMACトレーニングセンター開所式


図8.4 探針による地雷探知作業


8.2 対人地雷探知技術(1)現状と課題

(1)金属探知器
 使用実績の1番ある地雷探知器は金属探知器であり、その方式は大きく分けると磁界を強制的に作り、地雷に生じる渦電流を計測して地雷の有無を認識するアクティブ磁気方式と、磁力の有無のみを探知するパッシブ磁気方式が存在する。これらの方式は金属に対しては有効であるが、プラスチック及び木製容器の対人地雷の探知は困難である。現状では、プラスチック地雷内にある起爆装置内の1g以下の金属を探知する手法が実施されているが、地雷以外の「金属缶」及び「金属片」を探知してしまい、探知率を箸しく低下している。(1日に1m2程度の面積のみの地雷探知・除去作業を実施)

図8.5にカンボジアで使用されている金属探知器を示す。

図8.5 金属探知器の外観図


(2)電波センサを用いた地雷探知器
 基本的な原理は航空機用のレーダと同じであるが、航空機の場合探知目標物と探知アンテナの間に介在する物質は空気と水であるが、地中探知の場合は空気、水、土の粒径、土の種類、含水率、誘電率等の条件により探知特性が異なり、反射信号の異なる問題が生じる。

 現在、日本からNGOとしてカンボジアの地雷除去のために民問のセンサメーカが協力しているが、現地における地雷探知性能が向上しない理由として、対人地雷の埋設環境及びラテライト土質の影響による電波特性の変化が大きな原因と思われる。また、電波の特性として、地中に向けて電波を発射した場合、地表面における反射が大きく、探知目標物(地雷)の信号がこのノイズの中に埋もれてしまい探知率の低下の原因となっている(S/N比問題)。

 全般的な課題として対人地雷が含んでいる金属は非常に少ない。そのため、従来の金属探知器では、不発弾の他、金属の破片など、地雷ではない金属にも反応して効率が悪い。超音波などを組み合わせて、地雷の形状を見ることにより、地雷探知の効率を上げることが必要。また、地雷探知を進めるにあたって草木などの除去などの環境整備作業も重要。トラップなどもあり、非常に危険性を伴う。

(3)その他の方法
 訓練された犬を使った探知法がある。図8.6は犬による探知風景である。犬の嗅覚は人間の400倍と言われており、地中の埋設地雷だと2mまで、水中の地雷では5mまで探知できるとも言われている。現在、カンボジアでは1チームあたり6犬を保有して、現在24チームが訓練犬による地雷探知に従事している。

図8.6 訓練犬を用いた地雷探知


8.3 対人地雷除去技術の現状と課題

 図8.7は現在カンボジアで使用されているCMACが保有している対人地雷除去専用の地雷除去機である。CMACのロゴ入りの白いカラーの軽量車で、高温多湿に耐えるためキャビン内はエアコンを装備しており、カンボジアの河川に架けてある狭い橋を問題なく渡ることが可能である。

図8.7 CMACの対人地雷除去車


 一方、軍が保有している地雷除去機についてであるが、図8.8に示すように乗員は対戦車地雷の爆発にも対応できるように重装甲に守られている。前面の鍬により地中を掘削して地雷を地表に誘導する方式である。その他の方法として前面にローラを装着して踏みつぶす等の方式が存在する。

図8.8 軍用地雷除去作業車


 現状の軍事的地雷除去技術においては、人や戦車などが通れる逆を短時間に造れば良いと言うことから、ミサイルによって爆薬を化込んだロープを張り、その爆発力によって地雷を破壊する方法や、タンクの先端に金属ローラやハンマーを取り付け、地雷を爆破しながら道を造る方法などがある。しかし、軍事的であるため、100%の除去率にはほど遠く、軍事作戦上の必要性が優先される。人道的対人地雷除去では、多少の時間をかけても、ほぼ100%の除去率が求められているため、方法も軍事的地雷除去技術とは異なっている。

 なお現状では、対人地雷を発見した後には爆破により処理している。その他、信管だけを破壊し、地雷の機能を停止させる方法もある。課題としては人道的対人地雷除去として、効率よく、安全に100%に近い処理を行う方法に関して問題が残ることである。

8.4 対人地雷除去技術支援の障害となる課題

 対人地雷除去作業を行う環境に適合したシステムが必要である。例えば、発展途上国であるため、道路や橋のインフラストラクチャが整備されておらず、重機を運搬することができなかったり、雨が多い場所では、ぬかるみが多く、重機を使うことができない。草木が生い茂っている場所では、地雷探知作業に入る前に、安全な環境整備が必要である。一方、退役軍人が地雷除去活動を新しい職としている。いずれにしても一人による対人地雷探知・除去活動を安全にかつ効率よく補助する機械システムが望まれる。また、電源やオイルなどは不足しており、入手が困難な場合もある。短期的には、地雷除去活動を行っている地域の現状に合わせた機械システムとして現地の人が容易に扱えるレベルでのシステムの研究開発が必要であり、長期的にはハイテクで効率よく安全に自動に近い対人地雷除去システムの研究開発が必要である。

TOP


第9章 人道的対人地雷探知・除去技術の確立に向けて

9.1 対人地雷探知・除去技術の研究開発動向

(1)日本における研究開発動向
 我が国は、東京工業大学の古田勝久教授を委員長として日本学術会議内に「人道的対人地雷探知・除去技術の研究推進検討小委員会」を平成11年8月に設置し、学術的な立場から精力的に議論を重ねている。一方、日本学術会議の「人道的対人地雷探知・除去技術の研究推進検討小委員会」と連携を図りつつ、深く専門的な立場から探知技術と除去技術の方法論を検討するために日本ロボット学会と日本機械学会の中にそれぞれ「人道的地雷除去ロボティックス研究専門委員会:主査 木下源一郎、幹事 柴田崇徳」と「NGOによる先端計測技術と歩行ロボットを用いた地雷探知・処理に関する研究分科会:主査 野波健蔵、幹事 下井信浩」という研究会が設置され調査研究活動を行っている。日本学術会議と学会レベルの活動状況は以上である。

 具体的な研究動向であるが、我が国のロボットに関する研究は世界的に見て最先端のレベルにあり、これまでにも数多い優れた研究成果が報告されているのは周知の通りである。これらの成果を基礎にして地雷探知・処理機器の研究開発を専門的に行った研究成果が最近報告されている。まず、特許取得のものとして東京高専の下井信浩助教授による「歩行ロボットによる地雷探知・処理技術の研究」、東京工業大学の広瀬茂男教授らの「対人地雷除去ロボットの研究」、「打撃推進型プローブの研究」及び「歩行ロボット装着用地雷処理ツールの研究」、さらに、千葉大学の野波健蔵教授と下井信浩助教授の共同研究による、「地雷探知用自立6足歩行ロボット(COMET-I)の開発」及び「赤外線熱画像カメラを用いた地雷探知技術の研究」がある。その他、九州大学の飛行船を用いた研究や工業技術院機械技術研究所等の車輪移動型グラスカッター兼地雷探知補助機の開発、NGOや民間企業による地雷探知器の開発研究がある。

 一方、対戦車地雷等の探知・除去技術の研究は、防衛庁技術研究本部において実施され、装備化されている実用機器には「89式地雷探知器」及び「地雷原処理車」が存在するが、これらは防衛上の秘密のため、性能等の詳細については公開されていない。

(2)海外の研究開発動向
 世界的にみて、「人道的な対人地雷探知・除去に関する研究」は90年代半ばから各国が精力的に研究を開始している。とくに、昨年辺りから、国際会議がいくつか開催されるようになった。昨年、開催された国際会議は以下のようである。したがって、地雷探知・除去に関する研究の情報交換は始まったばかりであり、今後活発になるものと思われる。

 (1)IEEE Workshop "Robotics for Humanitarian De-Mining" Leuven, Belgium, May, 1998
 (2)IARP Workshop on "Robotics for Humanitarian Demining" Toulouse, France, September, 1998

 標記の会議がベルギーとフランスで開催されたのは以下の理由によるものと思われる。ヨーロッパでは旧ユーゴ、ボスニア、コソボ地域を中心として紛争が絶えず、地雷問題が深刻化していることに加えて、軍事研究と民間または大学での研究が密接に関係しているという土壌がある。なお、最新の具体的な海外の研究動向は標記の会議録に見ることができる。(6章の5節参照)

 また、国内では1999年10月に東京で開催された国際会議ICAR'99(International Conference on Advanced Robotics)ではWorkshop on Robotics for Humanitarian Deminingが企画され、米国、フランス、日本の研究動向の紹介と討議がなされた。

9.2 地雷探知・除去支援機材の研究開発

 カンボジアを例にすると、地雷が埋設されている「地雷原」と呼ばれる場所は、数十年の年月の経過で灌木や草木が生い茂っている箇所がかなりあり、地雷探知以前に灌木やブッシュ、草類を除去して地雷探知のための環境作りが必要となっている。この目的のために我が国の民間会社が地雷探知・除去支援機材を開発している。

 1999年夏に、我が国の民間企業2社が開発した人道的援助機材としての潅木等除去機械によりカンボジアのCMAC支援のもとで、対人地雷を用いた軍用性能等確認試験が実施された。この結果、4台がカンボジア政府に無償援肋されることが決定した。潅木等除去機械の使用目的は、経年変化による地雷埋設地帯に植生している潅木及び竹林等を除去して埋設地雷の除去及び探知を可能にすることにある。方法としては、ブームの先端に装着されているロータリーカッタを油圧により高速回転させて潅木等を粉砕処理する。作業はすべて有人作業で実施するため、運転室内はオペレータの安全のために地雷爆発による被害を防ぐ構造となっている。図9.1に外観図を示す。

図9.1 潅木等除去機械外観図


 また、リモコンによる車輪移動の草刈り作業機を工業技術院機械技術研究所と民間会社との共同研究により開発した。この地雷探知補助機器は地雷原で安全に効率よく草刈り作業するための機械である。本機は地雷探知作業の上環境整備のための草木除去にとどまらず、探知器を搭載することで対人地雷探知器としても適用可能である。図9.2にその写真を示す。

図9.2 リモコンによる車輪移動型の草刈り作業機


9.3 対人地雷探知技術の研究開発

 つぎに、具体的に地雷探知技術の研究開発について紹介する。

(1)インパルス電磁場レーダ
 原理
 航空機及び船舶等で使用されているレーダと同じ原理を用いている。
航空機のレーダは360°の全方向に電波を発射して飛行中の機体から電波が反射するとアンテナが電波を受信する。そして、機体までの距離と受信したアンテナの方位から、機体の位置を認設する。しかし、地雷探知器の場合は地雷が航空機のように移動しないためにアンテナを動かすことにより、位置と深度を判定することが可能である。図示した探知器の特徴は、従来の探知器のように地雷を発見した時に発する警報音による表示と違い、画像処理技術等を用いた埋設地雷の形状等を画像表示器に表示する方式が新たに用いられている。

図9.3 携帯型レーダ地雷探知器(日本製試作機)


(2)磁気・電波複合地雷探知器
 原理
 地中レーダは、電磁波を利用した浅層地下探査システムであり、地表に設置したアンテナから電磁波パルスを放射して目標物(地雷等)から反射した反射波を受信アンテナで捕捉する。使用する周波数の調整により探知する深度を変えることが可能である。また、地表面近くに埋設された対人地雷は金属探知器による磁気探知を実施して、地表面からのS/N比の関係による探知の不具合を考慮して電波では補足が困難である地雷を探知可能にしている。これにより、両センサ方式による探知器から得られた情報を複合画像技術により信号処理され同一画面上に表示されることが可能であると思われる。

図9.4 地下埋設物の探知状況


図9.5 磁気・電波複合探知による地表の断面図と対人地雷探知構想図


(3)高感度・超小型磁気地雷探知器
 原理
 このセンサは、アクティブ磁気方式による金属探知器である。センサヘッドからパルス磁界を発生させ、このパルス磁界が検知金属に到達し、探知金属面に誘起された誘導電流から発化する微弱磁界をセンサプローブで捉え回路アンプで選択的に捕捉する(PAT-PENDING)により、金属を非接触で検出することが可能である。そして、超小型・高感度を特徴とし、地球磁場の影響や商用交流電源などの外乱に対し影響を受けることが少ない方式になっているため、多目的用途に使用可能である。本装置は、千葉大学工学部野波研究室(野波教授、下井客員助教授)で開発され地雷探知・処理用6足歩行ロボットの地雷回避用センサとして試験運用されている。

                仕様

1.動作電源        ±5V 100mA以下(70mATyp)リプル10m v(r.m.s)
2.定方式         電磁誘導方式 垂直の木綿針に対し1.5cmの距離で100mVの変位
3.センサ相互干渉距離 30cm(平行設置)、15cm(垂直設置)(密着設置用もアプションで可能)
4.検出出力        アナログ -4Vフルスケール
               デジタル 24ビットシリアル出力(SPI)
5.外形寸法        100mm(W)×62mm(D)45mm(H)(突起部除く)

図9.6 超小型アクティブ磁気地雷探知器用アンプ外形図

図9.7 超小型アクティブ磁気地雷探知器構成図


(4)赤外線熱画像カメラ(IRカメラ)による地雷探知披術
 原理
 ブランクの放射法則によると、常温に存在する物体はほとんど赤外線放射によりエネルギー放出を行っている。20℃の室温では約10μmの波長帯に相当する。この帯域内で測定されるエネルギー量は温度に比例した放射を示すことにより、放射温度計として埋設地雷と土、または散布地雷と空気中の温度差により地雷を探知可能にする。IRカメラを用いた探知方式は、主に地雷から放出される赤外線エネルギーを上記の方式により熱に換算して探知するにパッシブ方式であるが、この方式の最大の利点は離れたところから安全に地雷探知を実施することが可能なことである、また、有効探知面積も現状の携帯式金属探知器に比較すると格段の向上が望まれ、探知効率も飛躍的に改善される。しかし、パッシブ方式の場合、気温の寒暖差が大きい夜明け及び夕暮れには良好な結果が得られるが、天候及び時間帯による探知制限があるために、人工的に探知対象物の温度差を大きくするための急加熱及び急速冷却等の方法によるアクティブ探知技術も検討されている。

 なお、IRカメラを用いた探知技術は、千葉大学工学部野波研究室(野波教授、下井客員助教授)において実用化のための研究を実施している。

図9.8 模擬埋設対人地雷を用いた赤外線探知試験図(埋設前)


図9.9 赤外線カメラによる埋設模擬対人地雷の探知結果(埋設後)


(5) ロボット技術による対人地雷探知技術
 歩行ロボットを適用した研究として、千葉大学工学部野波研究室(野波教授、下井客員助教授)において6足自律歩行ロボットによる地雷探知技術の研究がなされている。このロボットの特徴は地雷探知を安全に、かつ、高い信頼性で行うロボットで、歩行用の6脚全てに同研究室の成果である埋設地雷探知用超小型アクティブ磁気センサを装着しており、地雷埋設地帯における地雷の回避を実施して安全な歩行を確保するためにロボットの脚が地表面に接地する前に地雷の有無を判断して金属反応のない場所を選択して接地し、歩行ロボットの安全を確保するように設計されている。同時に、6脚で地雷探知を精度良く実施する。また、本歩行ロボットは、高速情報処理用コンピュータ及び無線通信機器等を搭載しており、ロボット本体の腹部に埋設地雷の種類及び埋設位置等を判定するためのアレイ型地雷詳細探知器の設置を予定し、さらに、地雷原で正確な位置確定のためにGSPを搭載予定である。図9.10に6足自律歩行ロボット(COMET-I)の外観図及び主要諸元を示す。

 また、本研究室においては、以前より歩行ロボットが作業中に地雷爆発等で歩行脚を失った場合を想定して自律復帰を目標とした「自己修復機能を有するモデルベースの歩行型制御技術」の研究及び「ニューラルネットワークを用いた最適地雷原歩行アルゴリズム」の研究等を実施し、人道的対人地雷探知・除去技術の発展のために精力的に研究を進めている。

図9.10 歩行中の地雷探知用6足歩行ロボット(COMET‐1)


(6)広域地雷原偵察システム
 原理
 無人偵察機を用いて地雷埋設が予想される地域を飛行させ、赤外線熱画像カメラ及び合成開口レーダ、可視光カメラ等を搭載して探知を実施する。得られた偵察探知情報はリアルタイムで無線送信され中継局を経由してホストコンピュータにより高速情報処理が実施される。現在米軍等が開発中である。

 なお、同様な考え方でIRセンサあるいはCCDカメラを搭載した小型の自律型ラジコンヘリコプターによる散布地雷の詳細探知の研究を千葉大学の野波研究室で実施している。図9.11ラジコンヘリコプターにおいては地上約50cmまで接近してホバリングしながら詳細探知ができる利点がある。さらに、灌木の密生した領域でも自律型誘導制御の性能を生かして様々な探知ができるものと思われる。

図9.11 飛行中のラジコンヘリコプター


 また、同じ発想であるが偵察機として飛行船を用いた研究が九州大学工学研究科の後藤昇弘教授の研究室で実施されている。地上から数mのところに停留して電磁波センサにより地雷探知を行うというものである。飛行船の大きさは全長5.5m、最大直径2.5m,Heガスを用いており、推進・制御用には電動エンジン5機搭載している。図9.12はその概念図である。

図9.12 飛行船を用いた地雷探知システム


9.4 対人地雷除去技術の研究開発

 我が国の地雷処理機の開発としては、9.2で紹介した灌木除去機を地雷処理にも適用する試みがある。

 一方、海外においてはスウェーデン及びカナダ等の国々で開発または実用化されている装置として、建設機械の土木掘削機械を改良した対弾性能及び7m程度の長いブームを有する地雷処理作業車が存在する。処理方法としては、ブームの先端に装着されたカッタによる粉砕方法及び大型のバケットによる埋設地雷とその周囲の土砂を掘削して除去する方法がある。

 また、最新の研究成果として、ロケットの固体燃料を用いた火炎放射器による焼却法が検討され、実用化のための研究がされている。NGOが実施する地雷処理は、戦闘が終了して敵弾等の飛来もなく時間的な制約等を受けない平和時であると想定されているので、処理目標は100%(実質は99.5%以上)を可能としている。そして、軍事と大きく違う点は地雷処理の実施された土地に速やかに住民を復帰させ農作等の再生を目的としていることである。実施されている処理技術は、費用の制約等からハイテク技術を必要としない有人による処理作業が中心となっている。

 軍事用地雷処理機械としては湾岸戦時、米国陸軍が用いた機械として戦車の車体前方に「鍬」、「ローラ」及び回転式の「分銅」を装着した地雷処理機械が作戦に従事した。原理は、「鍬」により埋設地雷を地表に掘り起こして地雷を安全な場所で爆破させる方法、または「ローラ」及び「分銅」により地表面を加圧して人工的に自爆させて処理する。

 また、広域的な地雷原処理方法として「爆索」(爆薬の装てんされた綱)をロケットにより目標地点まで飛翔させ、地表面に着地すると同時に爆索の爆薬を爆発させて地表面に爆圧を付加して埋設地雷を自爆させる方法が存在する。この時、地雷を処理する幅は1〜5m(人員及び戦車の通過幅)の安全確保を目標として、地雷処理率も100%を目標に掲げているが現実にはほど遠い。そして、地雷処理の意味された土地の再生利用及び住民の生活環境及び安全等には考慮がされていない。

9.5 対人地雷探知・除去を目指した多目的機器システムの研究開発

 作業型歩行ロボットによる地雷探知技術として,東京工業大学 工学部 広瀬研究室では図9.13に示す構想の研究がなされている。これは人道的地雷撤去作業を行うため、車輪やクローラー走行車では近づけないような不整地にも入り込めるように4足歩行によって移動出来る機能と、足を手にして作業する作業機能を有する作業型歩行ロボットである。これが行う作業は、足先に作業に応じて着脱可能な作業機を取り付け、草刈器を取り付けた草や潅木の除去作業、地雷センサを取り付けた地雷探査作業、遠隔操作によって地雷を掘り出す地雷撤去作業などを想定している。このように足を広げた歩行姿勢をとる昆虫型歩行ロボットは、高い対地適応移動性がある、足先から胴体を離すことが可能なため誤って対人地雷を踏んでも制御中枢の破壊を免れやすい、足を作業アームにすることで現場で必要とされる数々の作業に広く利用できるなどの有効な特性があると考えられる。これまで、このような構想を実証するため、図9.14に示す4足歩行ロボットTITAN-VIII(重量22,脚の長さ腿200mm,臑250mm)を用いた、障害物の回避が可能な地雷探知・地雷除去用ロボットの研究がなされて来ている。

 また、同研究室では図9.15に示す接触型地雷探知用センサー[打撃推進型プローブ]の研究も実施されている。本地雷センサーの原理は、埋設対人地雷にセンサープローブを安全な角度から小さい力で接触させ、接触時に生成する対象物特有の音響振動をプローブに取り付けたセンサーで検出し、特別の判定アルゴリズムで地雷の識別を可能にしようとするものある。このセンサーは、単体あるいは複数のプローブを櫛のように並べた軽快で簡便なマニュア操作型のセンサーにして近い将来の実用化を目指すと同時に、上述した作業型歩行ロボットに搭載し、自立的な地雷探査撤去作業を可能とするインテリジェントセンサーとして発展してゆくことが目標とされている。

図9.13 地雷探知・除去用4足歩行ロボットの構想


図9.14 4足歩行機械TITAN-VIIIを用いた試験システム


図9.15 プローブ型地雷探知センサ


 作業型歩行ロボットに装着する地雷処理用ツールが東京工業大学工学部広瀬研究室で研究されている。地雷の掘り出しと撤去作業を遠隔で行うためには、誤爆を避けるため、出来る限り作業対象の様子を作業者に伝える高い臨場感が必要であり、そしてそのような機能性は、足先作業機が誤爆によって破壊されることを想定すると、使い捨てが可能なように出来る限り単純で安値なし捨て無でなければならない。このような目的を達成するため、図9.16に示す「形状帰還型マスタ・スレーブアーム」が検討されている。

 これは、遠隔操作時の作業性を向上するため、スレーブアームに付加した関節の屈曲角度をマスター側の対応する部位の関節の角度としてフィードバックする機能を付加したものである。これまで、システムの不安定性を招くことなく高い臨場感を生成できることが実験的に検証されている。

図9.16 形状帰還形マスタ・スレーブアームの外観図
(a)操作用マスタ・アーム
(b)作業用スレーブ・アーム


(c)アーム先端部に取り付けた足先作業機


9.6 日本ロボット学会と日本機械学会での取り組み

○日本ロボット学会での取り組みと成果および今後の活動
 1999年1月から「人道的地雷除去ロボティクス」研究専門委員会が発足した。委員は約30名で、企業、大学国立研究所の研究者が人道的地雷除去に関連する技術や環境の現状調査と研究課題調査を主な目的とした。これまでに2回の委員会と1回の国際ワークショップへの協力の活動を行った。第1回の委員会では、現状調査として、地雷間題、国際的活動、1ARPの活動、地雷除去関連研究の動向調査などを行った。第2回委員会では、軍事的地雷除去と人道的地雷除去の違い、地雷の種類と威力・戦術的地雷の利用状況、日本国内における地雷関連の現状などについて調査検討した。

 途中から、日本学術会議による人道的地雷除去に関連する審議が始まったため、ここでの審議を踏まえることとなった。

 国際ワークショップでは、日本ロボット学会の活動を紹介し、参加者と意見を交換した。

 今後の活動は、日本学術会議での審議を十分踏まえることとしている。特に、産学官連携による人道的地雷除去のためのシステムの研究開発プロジェクトを通産省や科学技術庁などに提案していく予定である。

○日本機械学会での取り組みと成果および今後の活動
 日本機械学会の「NGOによる先端計測技術と歩行ロボットを用いた地雷探知・処理に関する研究分科会」は1999年9月に発足しこれまで2回の会合を持ち、地雷埋設・散布現状について難民を助ける会、JICA(国際協力事業団)等から地雷に専門的に関わっている講師を招いて講演して頂き、現状認識を深めた。今後は各論で次のような活動を行う。

 本分科会は以下のような任務を有している。まず、地雷を高精度に探知するための計測技術について調査する。次に、この先端的な計測装置を搭載して地雷原を安全かつ自由に移動して100%に近い精度で地雷を探知する歩行ロボットの開発可能性について調査する。なお、歩行ロボットが踏み込めないような灌木やブッシュが生い茂っている場所では、まず灌木除去機材で小さな面積をカッティングし、この後に歩行ロボットによる探知を実施し、また、カッティングをするという手順となる。そして、探知した各種の地雷あるいは不発弾を分類して場所と埋設深さを特定した地雷埋設・散布地図を作成する可能性について調査する。そして、最後にこの地雷地図を頼りに無人の地雷処理機械が地雷撤去または地雷粉砕を実施して地雷原をかつての肥沃な土地に戻し、真の平和な地域社会に復帰させる。このような一連のプロセスを最先端の計測技術とロボット技術によりシステム化することができるかどうかを学際的・専門的視点から解明することにある。以上述べた分科会の課題を再度要約すると以下の4点となる。

1.埋設地雷と散布地雷を高精度に探知できる先端的計測技術に関する調査
2.地雷原を自立的かつ安全に歩行できる歩行ロボットの機構と制御に関する調査
3.地雷埋設・散布状況の詳細な地図作成に関する調査
4.ロボット技術による探知した地雷の処理方法に関する調査

 以上の4点にまとめた調査研究課題を実施する予定である。なお、申請している研究費が採択されれば研究課題を分担して実施し、本分科会の終了までに、地雷探知システムとしてプロトタイプロボットを構築する予定である。

TOP


第10章 人道的対人地雷全廃への提言

 わが国は、1997年12月のオタワ条約の締結において、人道的対人地雷の全廃に向けて貢献することを世界に宣言し、また、被埋設国の政府等が行う人道的な対人地雷除去活動に対して積極的に支援することを官房長官談話として発表している。この人道的な対人地雷除去活動に対する支援は、被埋設国の復興に寄与し国際社会の平和と安定に貢献するため国際社会全体として取り組むべき課題である。このため、わが国は単なる財政援助にとどまらず、科学技術の積極的提供によって人道的対人地雷除去活動を支援する機器を研究開発し、真摯な国際協力体制を確立すべきであると考える。そのため、以下の提言を行う。

1.軍事目的の地雷探知・除去とは異なる「人道的対人地雷探知・除去」のための研究開発を、平和立国日本における産官学共同プロジェクトとして立ち上げ、国際社会の平和と安定に貢献する。

2.「人道的対人地雷探知・除去」のために、短期的および長期的な視点から研究開発を行う。短期的な研究開発では被埋設国の現状を考慮して早期に使用可能な機器の開発に取り組む。長期的な研究開発では、最先端技術を駆使して高度なロボット化・システム化技術の開発に取り組み、被埋設国の対人地雷を安全かつ効率よく完全除去する技術を開発する。

3.日本における「人道的対人地雷探知・除去」のための研究開発拠点として、「日本国人道的対人地雷探知・除去研究腕発センター(仮称){JMAC, Japan Humanitarian Anti-personnel Mines Action Center}を創設する。本センターにおいては、
(1)産官学の連携による「人道的対人地雷探知・除去」技術の研究開発
(2)わが国で開発される「人道的対人地雷探知・除去」機器の有効性の検証と性能評価
(3)被埋設国技術者のための「人道的対人地雷探知・除去」機器運用トレーニング
(4)地雷犠牲者救済を目的とした「犠牲者の社会復帰支援機器」の研究開発
(5)「人道的対人地雷探知・除去」機器のデータベース化と武器技術への転用防止を含む安全管理
(6)国際的な「人道的対人地雷探知・除去」技術の開発研究協力体制の確立等の業務を行う。

TOP


参考文献

(1)NGO東京地雷会議97資料集 難民を助ける会 1997年
(2)NGO東京地雷会議97報告書 難民を助ける会 1997年
(3)NGO東京地雷会議98 今 私たちにできること 報告書 難民を助ける会 1998年
(4)第3回NGO東京地雷会議「オタワから1年 今 私たちは何を」 難民を助ける会 1998年
(5)Current Activities 1998, CMAC(Cambodian Mine Action Center)1998年
(6)外務省ホームページ
(7)Hidden Killers, US State Department,1998
(8)The Silent Menace, ICRC
(9)Landmine Monitor, ランドマインモニター(要約) 地雷廃絶日本キャンペーン 1999年
(10)地雷廃絶日本キャンペーン NEW LETTER No.1-No.10 地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)
(11)国連ホームページ

TOP


Copyright 2002 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN