国際学術協力事業推進の実態
  と問題点について
委員会名  国際学術協力事業研究連絡委員会
報告年月日  平成9年7月15日
議決された会議  第884回運営審議会
番号 研連16−70

作成の背景 

 地球、本体にかかわる地殻及び地質学の諸問題、さらに気象・気候、そして地球を包む最外域部である超高層と太陽地球系空間における諸研究は、その対象領域の大きな広がりにかかわり、国際学術協力事業が不可欠である。
 日本学術会議は、この問題に対処すべく、国際学術協力事業研連のもとに、IGCP、DELP、STEP及びWCRP専門委員会を設置し、それぞれのもつ多岐にわたる国際学術協力事業を支援してきている。
 それぞれの事業の多くは過去に、日本学術会議総会によってその実施が勧告され、行政側はその実施策を具体化し、予算化を図って対応してきた。日本学術会議より勧告され、日本政府に対して建議された国際学術協力事業については、事業実施の研究経費は、対応する省庁の事業経費として用意されてきた。
 その点ひとたび国際学術協力事業に対し、建議がなされた場合このプロジェクトにかかわる多くの研究者の有効な研究活動を可能にしてきた。

現状及び問題点

 近年、基礎的要素の強い領域の研究分野になると、国際学術協力事業推進内容が多岐にわたりだした傾向と逆に、それらの実施を支援する体制が崩れかけている。
 また、この傾向は、長期間にわたる基礎研究プロジェクトにあっては一層深刻になっている。それが重要な国際協同プロジェクトであるにもかかわらず、国際学術協力事業として、国際貢献と科学における主導性における特別な立場にあるとの認識が消えていて、かろうじて科学研究費補助金に応募しつつ、一般の研究との間のコンペティションを経て予算化されている現状である。
 

改善策・提言等

 この問題の改善には、日本学術会議の意欲ある勧告を必要とする一方、行政側は、我が国が国際学術協力事業において置かれている立場の重要性を改めて認識するとともに、緊急に適切な措置を講ずる必要がある。
 また、国際学術協力事業にあっては、共同観測時のデータ交換が迅速に行われることが不可欠である。このデータ処理体制問題においてもいまだ未解決の分野が多い。データ処理、整理及び配布を有効かつ迅速に実施することは、共同観測事業と同等に重要で、これらの体制において、遅れている分野に対して、データ処理、整理、配布の諸業務に対し担当者の確保を含めた体制作りが速やかに行われねばならない。
 さらに、研究者の来日など二国間科学研究協力事業の拡大、日本で開催する国際会議に外国から招待する制度の拡大は是非とも必要である。また、日本の若い研究者がより積極的に国際協力研究に参加できるよう大学における語学教育のさらなる徹底と向上を期待したい。

 

 
報告書原文   全文PDFファイル(1,051k)

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IGCP、 DELP、 STEP、 WCRP

関連研究機関・学協会
国際学術連合ICSU、国連教育科学文化機関UNESCO、世界気象機関WMO




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