グローバリゼーションと経営工学の役割
委員会名  経営工学研究連絡委員会
報告年月日  平成9年6月20日
議決された会議  第883回運営審議会
番号 連絡16−54

作成の背景 

 グローバリゼーションは、歴史的に見れば、領土の拡大、植民地の開拓に始まり、その後、先進国の生産拠点を途上国に移行する行動を意味していた。
 これと同時に、コンピューター技術とネットワーク技術の急速な進展により、人々の社会・経済活動は地球規模の拡がりをもつようになり、グローバリゼーションは、文字通り、地球を一つの活動範囲、一つの市場と考えることを意味するようになってきた。
 このようなグローバリゼーションは、社会・経済構造のボーダーレス化とネットワーク化を一段と加速し革新的な環境変化が起こった。そして、全く新しい価値観や行動形態などを生み出し、いままでの社会・経済活動で経験したことのない全く異質の問題が多数生じている。

現状及び問題点

 ボーダーレス化、ネットワーク化した社会の問題は、従来の経営工学が前提としてきた、ある限定された境界条件の範囲内で、与えられた問題に対する最適解を求めるという考え方だけでは解決できなくなってきた。つまり、ボーダーレス化、ネットワーク化によって、これまでの前提条件が曖昧となってきた。

改善策・提言等

 そこで、これからの経営工学は、グローバリゼーションに直接関係する大規模問題、地球的問題、合意形成問題、紛争処理問題、危機管理問題、情報ネットワーク問題などの諸問題を研究課題として取り組まなければならない。
 さらには、多次元、多目的問題の解決方法、複雑、曖昧条件下での問題発見と解決のための方法論多様な価値観が共存する曖昧条件下での価値基準設定のための方法論などの研究も重要な課題となる。これらの研究は現在の経営工学の研究の延長線上にある部分もあるが、全く新しい発想を必要とする部分も少なからず存在する。
 経営工学のより充実した学問体系を構築するためにも、これらの課題に積極的に取り組んでいくことが強く望まれている。

 

報告書原文   全文PDFファイル(779k)

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グローバリゼーションの歴史、 生産拠点のグローバル最適化、 研究開発のグローバル化、 本社機能のグローバル化、 ボーダーレス化と経営工学の最適化問題、 ネットワークに起因する難問題、 環境適合型の組織革新のポイント、 経営工学の新しい研究課題と方法論研究

関連研究機関・学協会
日本経営工学会




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